著者
勝野 眞吾 鬼頭 英明 西岡 伸紀 三好 美浩 和田 清 吉本 佐雅子 尾崎 米厚 永井 純子
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

若者の喫煙,飲酒を含む薬物乱用は変化するので繰り返し調査をしてモニタリングを行うことが必要である.本研究では,日本とアジアの青少年の薬物乱用の実態を調査し,データ・アーカイブを構築した.得られた結果は以下のようである.(1) 日本の青少年の喫煙,飲酒経験は連続して低下しており,2009年の時点でのこれまで1度でも喫煙経験した者の割合は13.1%,飲酒生涯経験率は56.7%であった. (2) 何らかの違法薬物を一度でも経験した者は2009年,男子1.1%,女子で0.6%であった. (3) 日本を含むアジア諸国の青少年の違法薬物乱用経験は欧米に比べて著しく低い. (4) 日本の高校生のほとんどは,薬物乱用の危険性をよく理解し,乱用に拒否的な態度を もつ. (5) 以上をまとめデータ・アーカイブを構築するとともに,その重要性を指摘した.
著者
三浦 祐佳 小島 奈々 小室 美佳 岡本 希 西岡 伸紀
出版者
一般社団法人 日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.330-339, 2019-02-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
35
被引用文献数
4

Background: Maintenance and recovery of mental health of children are related to resiliency, self-esteem, and social support. However, the relationships among consultation, resiliency, and self-esteem in senior elementary school children have not yet been assessed.Objectives: The purpose of this study was to examine the relationships among resiliency, self-esteem, and consulting behavior of senior elementary school children. Furthermore, we sought to obtain basic information for educational support to maintain and recover mental health and to promote consulting behavior through them.Methods: We conducted a questionnaire survey from May to July 2017 with 445 children (212 males, 226 females, seven unidentified gender) in the fifth and sixth grades of four public elementary schools in four prefectures. The contents of the survey were consulting behavior, resiliency, and self-esteem. We collected data on consulting experience and frequency, the main adviser, support received, and the reasons for not consulting, by the type of problem(studies, friendship, personality, feeling depressed).Results: The rates of consulting experience and frequency were the highest for problems regarding studies, followed by problems in friendship. They chose “parents” as the main adviser. The support received by children differed by the type of problem. Most children stated the will to solve the problem by themselves as the main reason for not seeking consultation, followed by not having a clear idea on how to consult. The frequency of consultation was positively correlated with resiliency and self-esteem (ρ=.185~.544). A logistic regression analysis revealed that the consulting experience was significantly related to relation-orientation, optimism of resiliency, and denial of self-esteem. Moreover, consulting frequency was significantly related to the self-orientation, relation-orientation, and self-denial.Conclusion: The consulting experiences differed by the type of problem. However, they were positively related to each other with respect to the type of problem. Experiences of facing a problem and consultation were related to resiliency and self-esteem. Increasing resiliency and self-esteem are suggested to promote consultation, while children’s will to address the problem by themselves should be respected.
著者
脇本 景子 岡本 希 西岡 伸紀
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-329, 2019-11-30 (Released:2019-11-30)
参考文献数
21

目的:本研究は,学校給食の残食に関わる要因として,献立内容,栄養量,気温を取りあげ,主食及び牛乳の残食量との関連を明らかにし,これら要因を変数とした残食推計モデルを得ることを目的とした.方法:兵庫県宝塚市の市立小学校12校(喫食者数は約7,000人)の学校給食の記録(2013~2016年度の593日分)を調査対象とした(横断調査).調査内容は,学校給食の残食量,献立,栄養量,気温である.米飯,パン,牛乳の1人当たりの残食量を従属変数とし,気温,提供時期,給食の提供量及び栄養量,ダミー変数に変換した献立の種類を独立変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を行い,関連を検討した.結果:米飯の残食では,気温(.56),炊き込みご飯(-.40),カレー(-.39)等が関連し,調整済み決定係数R2=.62であった.パンの残食では,校内調理パン(-.55),セルフサンド(-.36),気温(.34),加工パン(-.33)等が関連し,R2=.53であった.牛乳の残食では,気温(-.63)が関連し,R2=.39であった.(括弧内 標準化係数β)結論:学校給食の主食の残食は,気温,主食の味付け,喫食方法の工夫と関連していた.牛乳の残食は気温と関連していた.米飯,パン,牛乳の残食量についてそれぞれ約6割,5割,4割の説明力を有する残食推計モデルが得られた.
著者
川畑 徹朗 島井 哲志 西岡 伸紀
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.15-26, 1998-01-15
参考文献数
18
被引用文献数
16
著者
脇本 景子 西岡 伸紀
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.3-13, 2010 (Released:2011-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

目的:本研究は,児童期の子どもの給食時間における健康行動として,給食を残さず食べる行動(以下給食完食)と,食後のブラッシングをとりあげ,自己効力感に関する質問紙を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること,および行動変容段階との関係を知ることを目的とした.方法:2008年7月兵庫県内6市の公立小学校7校の5,6年生児童880名を対象に質問紙調査を行った.因子分析による項目選定の後,内的整合性,再検査による尺度得点の相関,検証的因子分析における適合度の確認により,尺度の信頼性と構成概念妥当性を検討した.また,尺度得点に関する一元配置の分散分析により,再カテゴリー化した行動変容段階との関係を調べた.結果:因子分析により給食完食6項目,ブラッシング4項目の自己効力感尺度が得られ,クロンバックのα係数は,給食完食が0.81,ブラッシングが0.81であった.再検査による尺度得点の相関係数(Pearsonのr)は,給食完食がr=0.84,ブラッシングがr=0.67(ともにp<0.01)であった.また,検証的因子分析後の適合度指標は,給食完食GFI=0.974,AGFI=0.961,CFI=0.966,RMSEA=0.055,ブラッシングGFI=0.981,AGFI=0.961,CFI=0.976,RMSEA=0.062であった.尺度得点に関する分散分析では,再カテゴリー化した行動変容段階の主効果が認められ(給食完食F(2/846)=155.16,ブラッシングF(2/791)=50.98,p<0.001),段階が後期に移行するにしたがって自己効力感が高くなる傾向が得られた.結論:作成した給食の完食とブラッシング行動に関する自己効力感尺度について,その信頼性と妥当性が確認され,本尺度の使用可能性が示された.また,行動変容段階との関係については,理論に合致した結果が得られた.
著者
春木 敏 川畑 徹朗 西岡 伸紀 境田 靖子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ライフスキル形成を強化する第二次の食生活教育プログラム改訂,指導者マニュアル作成,授業担当者研修,意志決定スキル,目標設定スキル尺度開発,家族への働きかけを試み,以下の成果を得た.I.2005年6月〜2006年7月,大阪府下の6小学校と山口県2小学校を研究対象校とする準実験デザインのもと,健康的な間食行動と朝食行動を主題とするスキル形成に焦点をあてた食生活教育プログラム(18時間)を実施し,計810名が参加した.(i)プロセス評価より,意志決定の下位尺度「選択肢の列挙」「結果の予測」を踏まえたおやつ選択法を,「意志決定をすべき問題の明確化」を踏まえ,朝食で野菜を食べるために具体的な,実行可能な目標設定ができた.(ii)影響評価より,女子は,健康的な間食行動の態度,自己効力感が高まり,低油脂おやつの選択が増加した.野菜摂取に焦点をあてた朝食学習により,朝食の野菜摂取率はおよそ倍増し,栄養バランスを改善した.(iii)意志決定スキル形成群において介入校の児童は,広告分析に関する自己効力感や食品選択スキルに有意な成果が認められたが,対照校児童には規則性はみられなかった.II.大阪府下の3小学校と山口県3小学校を研究対象校とし,2007年5月〜7月に,保護者通信,朝食モニタリングシートの家族点検,家庭での朝食野菜料理など保護者への働きかけを強化した朝食プログラム(6時間)を実施した.計417名が参加した.(i)全児童は,目標達成率,朝食の栄養バランスともに有意に高くなった.(ii)授業実施6カ月後には,児童の学習成果は有意に低下したものの家族強化群は,対照群に比べ,朝食得点,野菜摂取率ともにやや高い維持率を示した.さらにプログラム効果を高め,持続するために,教材や指導者研修,家族強化の改善を図り,学校健康教育に普及していく.
著者
吉本 佐雅子 鬼頭 英明 西岡 伸紀
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

49の高校(定点校)の生徒に,平成23年度(32,259名)と25年度(32,458名)の2回「高校生の喫煙,飲酒,薬物乱用の実態と生活習慣に関する全国定点追跡調査」を実施した。この2年間で薬物乱用経験者率は0.63%→0.51%に,飲酒の年経験者率は 40.0%→30.6%に,喫煙の年経験者は5.3%→3.6%と,減少していた。高校生においては「朝食摂取」,「学校生活の楽しさ」,「クラブの参加状態」,「アルバイトの週平均時間」,「大人が不在の状態で過ごす1日平均時間」,「悩みごと等を親に相談する方か」などのライフスタイルによる飲酒,喫煙の習慣化が薬物乱用に至る大きな要因として考えられた。