著者
脇本 聡美 Satomi WAKIMOTO
出版者
神戸常盤大学
雑誌
神戸常盤大学紀要 (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-7, 2010

両親を亡くし、財産も少ない29歳のリリー・バートはその美貌と洗練された感性を駆使し、華やかなニューヨーク社交界に受け入れられようと、金銭的な力を持つ結婚相手を求めている。ソースティン・ヴェブレンの言う「顕示的消費」が社会的規範となっている社交界では、個人の金銭的な力が社会的名声と直結する。有閑階級の生活を手に入れようとする一方で、リリーはその社会的規範を超越したいという願望を持っている。結局、金銭的な力は手に入らず、でっち上げられたスキャンダルによって社交界を追放されたリリーは、自活する術ももたず、窮地に陥る。たまたま手にしていた手紙によって、リリーは自分を陥れた相手に復讐し、社交界に返り咲くという手段が残されていたが、自分が本当に求めていたものは、物質的ではなく精神的な充足であると気付いたリリーは、その手段を使うことなく、命を落とす。金銭至上主義社会の順応者になることを放棄し、人間として正実な道を選び死んだリリーは、道徳的にイノセンスを貫いたという点では、アメリカのイヴに、人間として気高い選択をして破滅したという点では、悲劇のヒロインと見ることができる。自分自身も社交界の中心にいた作者イーディス・ウォートンは、リリーの悲劇によって金銭至上主義となった社会を批判している。
著者
脇本 聡美 Satomi WAKIMOTO 神戸常盤大学短期大学部幼児教育学科
出版者
神戸常盤大学
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:21884781)
巻号頁・発行日
no.4, pp.11-19, 2011-05-31

本論文は、子どもの成長に関わる大人が絵本について知っておくべきことは何かについて論じている。絵本 の読み聞かせは、子どもに喜びを与えるだけでなく、子どもの理解力やコミュニケーション能力を高め、想像 力を豊かにする。さらに、自分たちのいる世界は美しいものであることを子どもに伝え、生きていくために大 切なメッセージをもたらしてくれる。その観点から、子どものために絵本を選ぶのは大人の私たちがすべきこ とであると考え、よい本とはどういうものであるか、選ぶ目をどのようにして養うことができるかについて考 察する。また、絵本の豊かさを享受する機会を子どもから奪いかねない映像メディアの危険性を指摘し、子ど もに関わる大人がその危険性について認識し、伝えていく必要性をも明らかにする。This paper argues what those who concern children should know about picture books. Reading books to children gives them joy, and at the same time, it improves their ability for understanding and communicating. It also enriches their imagination. Moreover, it can be said that picture books can give children wisdom and strength to live by showing them that the world to which they belong is a beautiful place. From this viewpoint, offering children good books is our responsibility. So, the paper also considers what is essential for good books, and how we can cultivate our ability to choose good books for children. Finally, the paper discusses that screen media, such as TV, videos and computer games, can deprive children of the joy given by picture books, and points out the harmful influence of screen media on child development. In the light of that, the paper proposes that we should recognize the harm of screen media and convey it.
著者
脇本 聡美 Satomi WAKIMOTO 神戸常盤大学教育学部こども教育学科
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:21884781)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-7, 2013-03-31

2011年度より公立小学校で、「外国語活動」として英語教育が必修科目となった。本稿では、現在「外国語 活動」が何を目指し、どのように公立小学校で教えられているかを検証し、(8 諸国やアジア諸国、特に韓国 の小学校英語教育との比較から日本の英語教育の課題を論じる。小学校での英語教育をより充実したものにす るための示唆として、現職教員が英語を教えるための研修プログラムを整備することが急務であり、さらに、 小中高大と連携したカリキュラムの枠組みの中での小学校英語の到達目標を定めた上で、英語を教えることが できる小学校教員の養成課程を整える必要性を指摘する。