著者
水野 雅之 関口 雄一 臼倉 瞳
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.125-134, 2018-10-31 (Released:2020-01-05)
参考文献数
49

海外で実施された2つの場面緘黙のランダム化比較試験では,(1)段階的エクスポージャー法,(2)家庭や学校など生活場面での支援,(3)家族および教師との連携,の3つが有効である可能性が示されている。そこで,本研究では,日本における場面緘黙児への支援として,(1)段階的エクスポージャー法,(2)家庭や学校などの生活場面での支援,(3)家族および教師との連携,の3点に注目し,これらの支援がどの程度実施されているかを明らかにすることを目的とした。まず,系統的な文献収集を行い,38事例が収集された。文献を精査した結果,(1)段階的エクスポージャー法は18.4%のケースでしか実施されていないこと,(2)家庭や学校など生活場面での支援は31.6%のケースで実施されていること,(3)家族および教師との連携については,家族および幼稚園・学校関係者のいずれとも連携しているケースは28.9%であることが明らかにされた。今後,これら3つの支援方法を広めていくことが必要であるといえる。