著者
春日井 邦夫 舟木 康 小笠原 尚高 佐々木 誠人 山本 さゆり 川村 百合加 足立 和規 山口 純治 田村 泰弘 井澤 晋也 土方 康孝 海老 正秀
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.913-926, 2019

<p>日本の一般生活者の便秘に関するインターネット調査を実施した.51.5%が便秘を自覚し,その有意な因子は加齢,女性,糖尿病,痔疾患,脳血管疾患であった.便秘自覚者3000名の約1/3が便秘薬・下剤を服用し,43.8%は刺激性下剤を服用していた.入手方法は,医師処方37.2%,薬局購入67.5%であった.排便回数が週3回未満や硬便の割合はそれぞれ約1/3で,硬便,下痢便の人のQOLは有意に低下していた.便秘治療薬の1カ月間の支払い金額あるいは支払い可能金額は,約75%が1000円未満であった.日本人便秘自覚者の多くに十分な便秘治療が行われていないと思われ,適切な便秘診療の普及が望まれる.</p>
著者
春日井 邦夫 徳留 健太郎 舟木 康 米田 政志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.1269-1283, 2009 (Released:2012-07-17)
参考文献数
105

胃食道逆流症の治療はプロトンポンプ阻害薬が第一選択薬であり有効性は高いが,症状のコントロールのためには継続投与が必要となる.一方,腹腔鏡手術などの外科療法には一定の有効性が存在するが,手術に伴う合併症などが問題とされている.このため,より低侵襲で効果的な方法として内視鏡的治療法が欧米を中心に開発され,2000年初めには縫合法,焼灼法,注入法など3種類の治療法が登場し臨床応用がなされてきた.これらの方法には共通して胸やけなどの自覚症状やQOL,内服率などの主観的所見の有意な改善が得られていたが,pHモニタリング所見や食道内圧所見など客観的指標の改善が不十分であった.さらに,サンプルサイズ,盲検化,長期効果,安全性,医療経済性などの問題が次第に明らかとなり,焼灼法や注入法などの処置具は開発中止や市場からの撤退を余儀なくされた.現在は縫合法のうち胃壁の全層縫合を行う新たな処置具の開発,研究がなされているが,内視鏡治療がGERDに対する標準的治療法として受け入れられるためには,適応を含めて質の高い臨床治験を行い有用性のエビデンスを構築していく必要がある.