著者
辻 美智子 舟木 愛美 藤井 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.15, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 雑穀はミネラルや食物繊維が豊富であり、食物アレルギー対応食材として活用が期待される。ハトムギは茶や漢方薬として用いられているが、ハトムギ粉を用いた加工食品の開発に関する報告は少ない。そこで本研究では、ハトムギ粉を主原料としたグルテンフリーパンを調製し、製パン性および嗜好性について検討した。 方法 パンの主原料はハトムギ玄麦粉とし、副原料にグラニュー糖、イースト、水を用いてパンを調製した。粉体特性としてアミロース、タンパク質、脂質含量、澱粉損傷度、吸水性、糊化特性、製パン性として色度、比容積、破断特性を測定し、官能評価により嗜好性を評価した。 結果 ハトムギ粉の粉体特性は、最大吸水量に達するまでに約200分かかり、米粉と比べ吸水量は少なくなった。また糊化特性のピーク粘度、最終粘度は、いずれも米粉に比べ低いことが明らかとなった。ハトムギ粉パンは、加水量が増加するほど比容積は大きくなったがきめは粗くなり、最適加水量は80%となった。また品質を向上させるためにオリーブ油を添加したところ、パンの比容積は小さくなる傾向を示し、オリーブ油2%添加時に初期弾性率が顕著に高くなった。官能評価において、市販品のライ麦パンを基準としてハトムギ粉パンを評価したところ、香ばしさ、外相のカリカリ感の評価が高く、総合的に好ましいと評価された。ハトムギ粉を主原料としてパンを調製することができ、嗜好的に好まれることが示された。