著者
西岡 昭博 池田 進 小山 清人 高橋 辰宏 藤井 恵子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

(1)米粉の品種や粉砕時の熱履歴の違う米粉のレオロジー特性アミロース含量の異なる品種が異なる米粉を用意し、糊化特性の違いやパン生地にした際のレオロジー特性の違いを明らかにした。これにより品種間の違いとパン生地のレオロジー特性との相関を系統的に明らかに出来た。次に、米粉の粉砕時に熱履歴が澱粉結晶やレオロジー特性に与える影響を明らかに出来た。この米粉は常温でも糊化することで知られるアルファ粉にはない特徴もあることを明らかにした。これを米生地にブレンドすることで、生地粘度をコントロールすることで、製パンに最適な粘度を探ることが可能であることを突き止めた。(2)種々の米粉のレオロジー特性と製パン性(1)で得られた種々の米粉のレオロジー特性の実験結果を受け、これから得られる米粉生地の製パン性を検討した。一般の米粉に12%のα化米粉をブレンドすることで、パン生地のレオロジー特性をコントロールした。これにより均一な発泡セルを有する米粉100%による製パンに成功した。(3)米粉100%による製パンメカニズムの一般化グルテン成分を含有しない米粉などで製パンを行うには、発酵時と焼成時の粘度をそれぞれ制御する必要がある。具体的には、発酵時の生地粘度はイーストによる一次発酵時のセルの均一性に大きく影響する。さらに、オーブン中で一次発酵後のパン生地を焼成する際は、糊化に伴う生地全体の粘度上昇が重要になる。生地の粘度上昇が鈍い場合、二次発酵によりセルが破泡してしまう。一方、オーブン中で加熱されたパン生地が糊化により急激に粘度上昇することで、一次発酵時の形成された均一な気泡が保持され良質な製パンが可能となる。これを一般化し、図示し、まとめとした。
著者
藤井 恵子 高橋 貞幸 木内 瑠美子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.363-368, 2000-05-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
21
被引用文献数
4 7

本研究では,ゲル化能を有する絹フィブロインに着目し,これを米粉と複合化してスポンジケーキの調製を試み,複合化効果について検討した.1.薄力小麦粉を用いることなく,米粉と絹フィブロインを複合化させることにより,スポンジケーキを調製することができた.2.米粉と絹フィブロイン泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,比容積が低くなり,膨化が小さかった.3.絹フィブロインを添加することでスポンジケーキの老化速度が遅くなった.4.官能検査の結果より,米粉と卵白/絹フィブロイン混合泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,内部のきめが細かく(P<0.01),しっとりとしており(P<0.01),最もおいしい(P<0.01)と評価された.
著者
辻 美智子 舟木 愛美 藤井 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.15, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 雑穀はミネラルや食物繊維が豊富であり、食物アレルギー対応食材として活用が期待される。ハトムギは茶や漢方薬として用いられているが、ハトムギ粉を用いた加工食品の開発に関する報告は少ない。そこで本研究では、ハトムギ粉を主原料としたグルテンフリーパンを調製し、製パン性および嗜好性について検討した。 方法 パンの主原料はハトムギ玄麦粉とし、副原料にグラニュー糖、イースト、水を用いてパンを調製した。粉体特性としてアミロース、タンパク質、脂質含量、澱粉損傷度、吸水性、糊化特性、製パン性として色度、比容積、破断特性を測定し、官能評価により嗜好性を評価した。 結果 ハトムギ粉の粉体特性は、最大吸水量に達するまでに約200分かかり、米粉と比べ吸水量は少なくなった。また糊化特性のピーク粘度、最終粘度は、いずれも米粉に比べ低いことが明らかとなった。ハトムギ粉パンは、加水量が増加するほど比容積は大きくなったがきめは粗くなり、最適加水量は80%となった。また品質を向上させるためにオリーブ油を添加したところ、パンの比容積は小さくなる傾向を示し、オリーブ油2%添加時に初期弾性率が顕著に高くなった。官能評価において、市販品のライ麦パンを基準としてハトムギ粉パンを評価したところ、香ばしさ、外相のカリカリ感の評価が高く、総合的に好ましいと評価された。ハトムギ粉を主原料としてパンを調製することができ、嗜好的に好まれることが示された。
著者
金親 あつ美 古家 夏絵 藤井 恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.61, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】大豆は古くから日本人の重要なたんぱく源として食され、近年は豆乳の機能性成分が注目されている。本研究では、豆乳の起泡性に着目し、豆乳の泡沫特性を明らかにし、米粉と複合化させスポンジケーキを調製し、その特性を検討した。【方法】10~60℃に調整した豆乳をハンドミキサーを用いて起泡させ、その泡沫の起泡力、安定性、および力学特性を調べた。併せて豆乳の表面張力を測定した。また、豆乳泡沫にショ糖を添加し米粉と混合してスポンジケーキを調製した。生地の特性としてバッターの粘度、ケーキの特性として比容積、力学特性について検討した。【結果】12~55℃に調整した豆乳を撹拌すると、均質な泡沫を形成させることができた。豆乳は、温度が高いほど表面張力が小さくなり、起泡力は増大した。しかし撹拌温度55℃を超えると一部が凝集した。また、撹拌温度が高いほど豆乳泡沫の粘度が高く、45℃で撹拌し調製した豆乳泡沫が、最も粘度が高かった。泡沫安定性は、撹拌温度が高いほど高くなり、卵白とは逆の傾向となった。豆乳泡沫を用いたスポンジケーキの調製について検討したところ、撹拌温度12~28℃で起泡させた豆乳泡沫を用いた場合ケーキは膨化した。ケーキの比容積は、糖濃度40%までは大きくなったが、50%では減少した。焼成可能であったスポンジケーキは、用いた豆乳泡沫の粘度が100~480mPa・sの範囲であった。以上の結果より、米粉スポンジケーキを調製する際は、起泡性および安定性の高い豆乳泡沫を用いるとよいというわけではなく、豆乳泡沫の粘度が100~480mPa・sの範囲内にある場合のみ、スポンジケーキが得られることが明らかとなった。
著者
藤井 恵子 赤堀 博美 川辺 知子 川畑 章子 大越 ひろ 中濱 信子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.261-269, 2001-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
33

Milk jelly samples made with six different gelling substances, agar, gelatin, l-carageenan, corn starch, sodium alginate and LM pectin, were prepared, and the physical properties of these samples were investigated. The rupture stress of all samples was the same. The rupture strain of the agar milk jelly was the lowest, while the values for the elasticity of the Hookean and Kelvin-Voigt bodies, and the viscosity of the Kelvin-Voigt body of the agar milk jelly were the highest. On the other hand, the values for the elasticity of the Hookean body and viscosity of the Newtonean body of the gelatin milk jelly were the lowest. The melting temperatures of the agar, LM pectin, l-carageenan and gelatin milk jelly samples were 84.1°C,55.8°C,52.3°Cand 30.3°C, respectively. While there was marked syneresis of the agar milk jelly, there was little with the alginate milk jelly and LM pectin milk jelly. A sensory evaluation judged the agar and gelatin milk jelly samples to be palatable, while the LM pectin and alginate milk jelly samples were judged to be unpalatable.
著者
藤井 恵子 藤井 智幸
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年日本人に不足しがちなミネラルや食物繊維を豊富に含み、また、食物アレルギーの主要原因食物(小麦、牛乳、卵など)を含まないパンが求められている。本研究ではアマランサス粉、ホワイトソルガム粉、もち粟粉とうるち粟粉をブレンドしパンを調製した。製パン性を検討した結果、ホワイトソルガム粉にアマランサス粉を25%混合したところ、ホワイトソルガム単独パンに比べ軟らかく内相にべたつきが認められた。もち粟粉とうるち粟粉の混合割合を変化させるとパンの比容積はほとんど変わらなかったが、もち粟粉の比率が高いほど軟らかいパンとなった。官能評価においても、イヌリンや豆乳を添加したパンは有意に好まれた。