著者
船引 恭平 中村 昌之 釣谷 雅明
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.220-235, 1981-12-10 (Released:2012-08-20)
参考文献数
24
被引用文献数
5

有機化合物を熱処理することにより生成する炭素化物の構造は, 主としてX線回折の手法によりいろいろと研究されて来た。また, 電子顕微鏡技術の発展により, これら炭素化物の微細構造を直接かつ正確に観察することができるようになって炭素化の研究に大いに役立っている。最近フェノール樹脂が炭素化材料として種々の用途で用いられるようになってきたため, 炭素化挙動についての関心が高まりつつある。そこで, こゝではまず有機化合物の炭素化・黒鉛化について総括的に触れた後, ついでフェノール樹脂の熱処理に伴って観察される炭素化・黒鉛化の挙動についてまとめてみた。また, 炭素化物の収縮率や強度などの物理特性や, フェノール樹脂の平均分子量やヘキサミン量などが残炭率に及ぼす影響についても論じてみた。さらには, いろいろの測定条件下での発生するガスの種類や量などにも触れ, それぞれについて実験結果や文献を紹介して説明する。