著者
近藤 勝彦 日詰 雅博 小西 達夫 川上 昭吾 船本 常男 岩科 司
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

近藤勝彦が代表のグループは、今まで27年間にわたって中華人民共和国中国科学院植物研究所系統与進化植物学国家重点実験室(北京市、香山)を中心とした洪徳元教授(中国科学アカデミー会員)グループをカウンターパートとして、日本と中国に共通して分布する植物種を分析して日本フロラの起源、種間関係ならびに絶滅危惧種の保全、異なった場所での塩基配列の変化、多様性、構成関連種の系統関係、動態、デモグラフィー、染色体核形態の変化などをさぐってきた。さらに2000年から、ロシア連邦を研究対象に加え、ユーラシア大陸ウラル山脈以東の構成植物に研究範囲を拡大し、ロシア科学アカデミー会員(A.A.Korobkov,P.V.Kulikov,M.S.Knyasev,A.Gontcharove,V.P.Verkholat,A.Shmakov),モスクワ国立大学(P.Zhmylev,M.V.Remizowa,D.D.Sokoloff)、モスクワ国立教育大学(N.I.Shorina,E.Kurchenko,I.V.Tatarenko,A.P.Zhmyleva,E.D.Tatarenko)、アルタイ国立大学(A.Shmakov,S.Smirnov,M.Kucev)、ブリヤート国立大学(D.G.Chimitov,S.A.Kholboeva,B.B.Namzalov)、オーレル国立大学(N.M.Derzhavina)、されにはモンゴルをも加え、ホフト国立大学(D.Oyunchimeg)の方々と、日本の植物相関連植物が分布する東アジアユーラシア大陸の東アジアフロラを研究してきた。東端に位置する日本列島島嶼域は全北植物界、北植物亜界の東アジア植物区系に属し、地史的に大陸と接合したり分離したりしてきた島環境が個体群遺伝子給源を保持しながら、時には遺伝子浮動を起こして繁栄してきたか、また、アルタイ山脈はロシア連邦シベリア地方の中央部を南北に縦断し、ヨーロッパ・フロラとアジア・フロラがぶつかり合って南北に境界線を作り上げ、混ざり合って自生しているが、これら2フロラがどのようにして共存しているのか、雑種性は頻繁に起きてきた可能性が大いにある。これら両端域に共通して自生する被子植物種で今迄に分類、系統、分布学的に問題を提起している分類群に注目して、発生生物学的データー集積と絶滅危惧性の扱いに注目しながら、近藤等(東京農業大学)の日本側グループとロシア側グループは、相互関連植物の分布、構造、パターンの成因を分子系統進化、分子細胞遺伝学的ならびに核形態学的研究による種分化に関する研究、および特異的種の絶滅危惧性を含めて今までに増して共同研究を進めた。しかし、まだ分析していない植物も多く、研究の継続を期待する。