著者
船水 浩行
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-42, 1999

わが国の公的扶助制度とされる生活保護制度は、昨今の経済不況による貧困問題の深刻化、「行政改革」「社会保障構造改革」「社会福祉基礎構造改革」等の流れの中で新たな局面を迎えながら、その「使い勝手の悪さ」が課題となっている。生活保護法とその実施体制の「使い勝手の悪さ」がなぜ生じてきたのかを、制度発足の経緯から考察した。現行生活保護法は「最低限度の生活保障」という社会保障的目的とともに、「自立の助長」という社会福祉的目的を規定した。このため、当初から、「自立の助長」をどう解釈し、その方法とされた「ケースワーク」をとおしてどのような援助を行うものと位置づけていくのかが運用、実施上の課題点となり、現在の「使い勝手の悪さ」を生み出す一因となったことが示唆された。
著者
船水 浩行
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-16, 2000

わが国の公的扶助制度とされる生活保護制度は、昨今の経済不況による貧困問題の深刻化、「行政改革」「社会保障構造改革」「社会福祉基礎構造改革」等の流れの中で新たな局面を迎えながら、その「使い勝手の悪さ」が課題となっている。生活保護法とその実施体制の「使い勝手の悪さ」がなぜ生じてきたのかを、その実質的実施機関である「福祉に関する事務所」(福祉事務所)発足の経緯から考察した。福祉事務所は、これ以前にはない社会福祉行政の第一線現業機関であり、そこに専門的知識・技能を有する者を充てるとされた社会福祉主事を配置することとなった。しかし、これを規定する社会福祉事業法制定の経過の中で、福祉事務所の設置、組織のあり方等について、省庁間での見解の相違について妥協が図られながら制度化されたものであり、自治体行政にどう位置づけていくのか、社会福祉主事の専門性をどう確保するか等の課題が常に提起されてきた。こうしたことが生活保護の「使い勝手の悪さ」を生み出す一因となったことが示唆された。