- 著者
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福岡 岳美
花岡 農夫
李 力行
大内 慎一郎
田中 雄一
瀬戸 泰士
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.7, pp.1816-1819, 2000-07-25 (Released:2009-02-10)
- 参考文献数
- 10
81歳の女性で, 1年前から痴呆症状がみられていた. 10日前から腹痛があり,腹満感が増強してきたため当院を受診した.腹部の筋性防御が著明で,腹部単純X線写真,腹部CT検査で遊離ガス像を認めた.消化管穿孔の診断で緊急開腹術を行い,腹腔内には混濁した腹水を認め,下行結腸からS状結腸にかけて異物により多発穿孔を起こしていた.左結腸切除,洗浄ドレナージ,および横行結腸人工肛門造設を行った.切除した結腸にはビニール製の紐が充満しており,後に,患者がビニール製のゴザを蕎麦と思い食べたことがわかった.異食は痴呆の1症状であるが,痴呆患者は訴えが乏しく,重篤な状態になってから受診するため注意を要する.痴呆老人が腹痛を訴えて受診した場合は,異食の可能性も念頭に入れて,診察にあたる必要があると思われた.