著者
平山 智樹 藤原 和也 日比野 剛 花岡 達也 増井 利彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.II_301-II_308, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
42

本研究では,積み上げ型技術選択モデルを用いて,インドの将来の温室効果ガスと一次生成の大気汚染物質,短寿命気候汚染物質(SLCP)の排出量と,対策導入コストを推計し,気候変動緩和策が大気汚染物質とSLCPの排出に及ぼす影響を評価した.その結果,125ドル/トンCO2の炭素価格で導入可能な気候変動緩和策による副次効果として,SO2,PM2.5,BCの排出を基準年比横ばい以下まで抑制できること,2050年までの累積GDPの0.12%に相当する大気汚染対策コストを削減できること等が示された.一方で,気候変動緩和策の推進がもたらすバイオマス利用の拡大が,大気汚染物質やSLCPの排出増をもたらす可能性があることも示された.温室効果ガスだけでなく,大気汚染物質やSLCPも含めた最適な排出パスを検討するためには,低炭素化のみならず,健康被害や気候変動の要素にも留意して検討を進める必要がある.