著者
小川 晋平 名取 俊介 野村 智昭 芳賀 智顕 羽根田 俊 長谷部 直幸
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.S2_157-S2_157, 2010

症例は63歳, 男性. 高血圧, 高尿酸血症にて近医通院中だったが, 内服中のCa拮抗薬を数日間自己中断していた. 2009年3月上旬, 12時30分頃から前胸部痛が出現し近医を受診. 13時頃, 心電図を記録中に心肺停止状態となり, そばに付き添っていた元看護師の妻が心臓マッサージを開始, 救急隊到着時の意識状態はJCS III-300, 自発呼吸は認めず. 自動体外除細動器で心室細動と診断され, DC 360J×1回で心拍再開後, 前医に搬送された. 13時20分, 前医到着時の意識は清明, 自発呼吸も認められており, 心電図も近医で認められたST上昇は回復していた. 冠攣縮性狭心症, 致死性不整脈の疑いで当院に再搬送となった. 硝酸薬の点滴, Ca拮抗薬の再開で入院後は胸痛発作は認めず, 不整脈も出現しなかった. 内服継続下でのAch負荷試験, 心室頻拍誘発試験はいずれも陰性であり, 今回は植込み型除細動器の使用は見送った. 冠攣縮自然発作の心電図が記録されている稀な心室細動からの救命例であり報告する.
著者
名取 俊介 小川 晋平 野村 智昭 芳賀 智顕 羽根田 俊 ターリブ アリー 坂本 央 竹内 利治 長谷部 直幸
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.807-812, 2010 (Released:2012-02-28)
参考文献数
28

症例は63歳,男性.高血圧,高尿酸血症にて近医通院中だったが内服中のカルシウム拮抗薬を数日間自己中断していた.2009年3月上旬,12時30分ころから前胸部痛が出現し近医を受診した.13時ころ心電図記録中にST上昇とともに心肺停止状態となり,そばに付き添っていた元看護師の妻が心臓マッサージを開始,救急隊到着時の意識状態はJCS III-300,自発呼吸はなかった.自動体外除細動器で心室細動を確認しDC360J×1回で除細動され心拍再開後,前医に搬送された.13時20分,前医到着時は意識清明,自発呼吸も回復しており,心電図のST上昇も消失していた.冠攣縮性狭心症,致死性不整脈疑いで当院に再搬送された.硝酸薬の点滴,カルシウム拮抗薬再開で入院経過中に胸痛発作はなく不整脈も出現しなかった.内服継続下での冠動脈造影,アセチルコリン負荷試験,心室頻拍誘発試験はいずれも陰性であり,植込み型除細動器の植え込みは見送った.冠攣縮自然発作の心電図記録直後に心肺停止となり,bystander(救急現場に居合わせた人)による心肺蘇生と,救急隊による除細動の連携により合併症なく,心室細動から蘇生した稀な症例である.