著者
若林 和樹 黒崎 みのり 甲賀 英明 田村 勝
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-59, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

遺残環椎前分節動脈(PPPIA)は胎生期遺残動脈の1つであるが発生頻度が低いものと推定されている。今回我々はPPPIA1型に合併したperimesencephalic nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage(PSH)の1例を経験した。症例は61歳男性で突然の頭痛、嘔吐で発症した。頭部CTにて脳幹周囲脳槽に強いくも膜下出血を認め、発症当日の脳血管撮影にて明らかな出血源を認めなかった。第4,14病日に脳血管撮影を再検したが出血源は同定されなかった。その後再出血なく、現在経過観察中である。一般にPSHの予後は良好とされるが、遺残動脈には脳動脈瘤合併の割合が高いとされ、また遅発性に脳動脈瘤新生の報告1)もあるため今後も注意が必要である。