著者
石田 啓一郎 畠山 忍 幸村 克喜 江部 達夫 荒井 奥弘
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.1852-1857, 1992-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18

症例は24歳の女性で, 1989年7月19日の検診にて胸部異常陰影を指摘され, 精査治療のため当院呼吸器科に紹介となり11月2日入院した. 胸部X線写真では両側中・下肺野の末梢に強い浸潤影を認め, 胸部CTでは胸膜下の小葉性陰影と考えられる density の上昇を認めた. 以上より肺胞蛋白症を疑い, 右中葉気管支より気管支肺胞洗浄および右上葉, 下葉から経気管支肺生検を施行した. 気管支肺胞洗浄液の沈渣物と経気管支肺生検における組織の電顕像にて, 多数の multilamellar body を認め肺胞蛋白症と診断した. なおかつ間質領域にマクロファージの浸潤像がみられたことから, 比較的早期と考えられる肺胞蛋白症においても間質性病変が同時に, または先行して起こる可能性が示唆された. 治療に関して, 我々は Ambroxol を経口および吸入で使用し, ある程度の有効性を認めた.