著者
荒井 康之 鈴木 隆雄 長島 晃司 福地 将彦 小坂 由道 太田 秀樹
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.150-157, 2019-09-20 (Released:2019-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

目的:在宅ケアを受けたがん患者において,患者・家族が希望する最期の場所は在宅ケアを受ける中で変化するのか,実際に希望の場所で患者が最期を迎えるのかを検討する.方法:A診療所が在宅ケアを提供したがん患者111人の診療録調査.在宅ケアの開始当初と最終段階での患者・家族が希望する最期の場所,患者が最期を迎えた場所を検討した.結果:当初の希望が自宅である患者の95.6%・家族の96.8%が最期まで自宅を希望し,当初の希望が自宅でない患者の87.9%・家族の84.8%が最期に自宅を希望した.患者の97.4%・家族の97.2%で,最終段階の希望と最期を迎えた場所が一致した.結論:一診療所の調査ではあるが,自宅での最期を希望した患者・家族は最期までそれを希望し続け,当初はそれを希望しなかった患者・家族も最期には自宅を希望しやすいことが示唆された.また患者の多くが希望の場所で最期を迎えることが示唆された.