著者
北堂 真子 荒木 和典 高橋 達也 井邊 浩行 梁瀬 度子
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.229-239, 1999-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
42
被引用文献数
5 6

電車の特徴的な振動を基に合成した振動に1/fゆらぎの特性を併せ持つ低加速度レベルの全身振動を人体に与え, 入眠に及ぼす影響について主に生理的反応から検討を行った. 健常な成人16名を対象に, 電車の固有振動数を応用し, かつ, 1/fゆらぎ特性を示すような時間間隔で変化させた垂直振動 (1.5Hz; 0.06m/s2rms及び2.0Hz; 0.11m/s2を交互, かつ12Hz; 0.09m/s2をON/OFF) 及び左右振動 (0.4Hz; 0.05m/s2及び0.6Hz; 0.09m/s2を交互, かつ12Hz; 0.13m/s2をON/OFF) を10分間負荷し, 振動のない場合と比較検討した. その結果, 全身振動の場合, 睡眠潜時が短縮される傾向が認められ睡眠量も増加した. また, 心拍周期の増加率が高くなる傾向が見られ, 心拍変動係数も高くなることが示された. 即ち, 全身振動により副交感神経優位の状態に誘導でき, 入眠促進の有効性を確認することができた. しかし, 振動による筋活動の低下状態や入眠への影響, あるいはリクライニング角度による影響等について, さらに研究を行う必要があると考えられる.