- 著者
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荒武 欽郎
- 出版者
- 史学研究会 (京都大学文学部内)
- 雑誌
- 史林 (ISSN:03869369)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.75-102, 1968-01
この論文は、十九世紀五〇年代末~六〇年代初ロシアの第一次革命的情勢の時期において、ロシアの革命運動が軍事革命の路線をとるにいたった事情に考察を加えたものである。当時、資本主義発展の道をたどりはじめたばかりのロシアでは労働者階級の組織的結集、革命政党の大衆のなかでの定着が見られず、このため、当時の革命家は人民革命を基本としつつも、革命のイニシアティヴを唯一の組織された力としての軍隊に期待するにいたったのである。結局は、準備不足のため、革命にはいたらなかったが、この過程において歴史発展の原動力としての人民の役割、ツァーリズムの階級的本質、ロシア゠ポーランド革命的同盟の基礎についての理解は深まり、次の時代への遺産としてひきつがれることになる。