著者
荒牧 正也 小川 修三 小川 修三 廣川 俊吉 沢田 昭二 早川 幸男 小沼 通二 荒牧 正也
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

坂田昌一氏は、氏の複合模型の提案にかぎらず夙に研究における方法論の重要性を強調していた。氏はまた湯川秀樹、朝永振一郎両氏の4年後輩として京都大学を卒業し、以来研究上でも両氏と緊密な関係をもっていた。そこで複合模型展開の研究に先立ち、坂田昌一氏の研究開始の時期に遡ってその足跡を辿り、氏の遺作や遺稿の収集・整理から手を付け、それを目録として纏めることとした。この仕事は未だ不十分なところが残っているが一段落し、「坂田記念史料室 資料目録第一集」として出版できた。これによって、坂田昌一氏の研究活動についてその背景を含めて検討する手立てが得られた。この目録作成と平行して、坂田昌一氏の社会的・文化的背景の検討を行ない、京都大学卒業論文から第二次大戦終結までに至る氏の方法論的考察の伸展と具体的研究との関連、とくに湯川博士との研究の進め方に関する考え方の違いが極く初期に遡ること及び武谷三男博士との緊密な関係と微妙な違いなどを追求し、その結果を「坂田昌一氏における『物理学と方法』」なる表題のもとにいくつか発表した。加えて坂田昌一氏とは研究の進め方及びその内容において相補的な朝永振一郎氏を提唱者とする、くりこみ理論、展開の歴史研究「Development of the renormalization Theory in Quantum Electrodynamics」が行なわれたが、これは複合模型の展開に至る坂田昌一氏の方法論に別の面から光を与えるだけでなく、日本の素粒子論発展の解明に大きく寄与すると考えられる。