著者
山崎 文徳 沢田 昭二
出版者
日本科学者会議
雑誌
日本の科学者 (ISSN:00290335)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.142-147, 2008-03
著者
沢田 昭二 小林 昭三 斎藤 栄 安野 愈
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

量子色力学(QCD)の低エネルギー有効理論である非線形シグマ模型のソリトン解であるスキルミオンに関する研究を行うとともに、QCDの成立にいたる過程において重要な役割を果たし現象論的にも実験事実をよく再現する非相対論的クォーク模型との関連についても研究した。成果を項目的にまとめると次のようになる。1.量子化したカイラル・ソリトンのトポロジカルな性質に付いての研究については、特に3次元球面上のカイラル・ソリトンのスピン-アイソスピン空間における回転およびソリトンの中心を中心とする伸縮運動(ブリージング・モード)を集団座標の方法によって量子化し、この系の相転移構造を調べた。2.スキルミオン描像に基づき、高次補正を含めて一貫した矛盾の無い方法によって湯川相互作用やパイ中間子-核子散乱現象を記述することができるかどうかは、この描像の長い間の懸案であったが、この問題について基本的な解決を得ることが出来た。3.カイラル・ソリトン描像と非相対論的クォーク模型の描像の両者をQCDのカラー自由度N_Cを変化させてバリオンのスピン・フリップ・頂点について研究した。4.カイラル・ソリトンに採り入れられていないクォークの自由度を考慮した研究の新しい芽も生まれている。
著者
沢田 昭二 大槻 昭一郎 玉垣 良三 吉川 圭二 福田 礼次郎 高木 富士夫 松田 哲 秋葉 巴也
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1.QCDジェットや重いクォ-コニウムなど摂動論的方法が有効な領域において実験との一致をみているQCQ(量子クロモ力学)が、非摂動的効果が重要となる領域において、どのようにカイラル対称性が自発的に破れる相に移行し、カラ-自由度が閉じ込められてハドロンを構成するか、その機構を理論的に明らかにすることを本研究の中心課題とした。2.この方向に沿って、非摂動効果を含む問題を取扱う新たな手法として、格子ゲ-ジ理論、ア-ベリアン射影、逆転法などを用いた方法が開発され、相移転機構や閉じ込めなどの具体的問題に適用された。3.QCDの低エネルギ-有効理論と考えられる非線型シグマ模型とQCDとの関連を明らかにするとりくみもおこなわれ、またこの模型におけるソリトン解すなわちスカ-ミオンによって核子をはじめとするバリオンとその相互作用の研究が引きつづいておこなわれ、またカイラル・バッグ模型にもとづいて核子の諸特性および核力の導出がおこなわれた。4.格子ゲ-ジ理論にもとづいてQCDから電子計算機を用いて直接QCD系の相構造、ハドロンの質量スペクトル、レッジュ軌跡の勾配などを求めるとりくみは、新しい計算方法の開発と電子計算機の大型化、高速化によって、一層信頼性の高い結果が得られ、当初の結果の抜本的な見直しがおこなわれた。この方向の研究は計算機の進歩とあいまって今後引きつがれる。5.QCDを含めた相互作用の統一を求める研究、標準模型を超える試みも活発におこなわれ、100GeVおよびこれを越える実験結果がえられつつある状況の中でCD不変性の破れ、トップ・クォ-ク質量予測などの研究成果も挙げられた。また宇宙初期の創成過程とかかわって有限温度QCDにもとづくクォ-ク・グル-オンプラズマ,高密度核物質の研究にも新たな知見が加わった。
著者
荒牧 正也 小川 修三 小川 修三 廣川 俊吉 沢田 昭二 早川 幸男 小沼 通二 荒牧 正也
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

坂田昌一氏は、氏の複合模型の提案にかぎらず夙に研究における方法論の重要性を強調していた。氏はまた湯川秀樹、朝永振一郎両氏の4年後輩として京都大学を卒業し、以来研究上でも両氏と緊密な関係をもっていた。そこで複合模型展開の研究に先立ち、坂田昌一氏の研究開始の時期に遡ってその足跡を辿り、氏の遺作や遺稿の収集・整理から手を付け、それを目録として纏めることとした。この仕事は未だ不十分なところが残っているが一段落し、「坂田記念史料室 資料目録第一集」として出版できた。これによって、坂田昌一氏の研究活動についてその背景を含めて検討する手立てが得られた。この目録作成と平行して、坂田昌一氏の社会的・文化的背景の検討を行ない、京都大学卒業論文から第二次大戦終結までに至る氏の方法論的考察の伸展と具体的研究との関連、とくに湯川博士との研究の進め方に関する考え方の違いが極く初期に遡ること及び武谷三男博士との緊密な関係と微妙な違いなどを追求し、その結果を「坂田昌一氏における『物理学と方法』」なる表題のもとにいくつか発表した。加えて坂田昌一氏とは研究の進め方及びその内容において相補的な朝永振一郎氏を提唱者とする、くりこみ理論、展開の歴史研究「Development of the renormalization Theory in Quantum Electrodynamics」が行なわれたが、これは複合模型の展開に至る坂田昌一氏の方法論に別の面から光を与えるだけでなく、日本の素粒子論発展の解明に大きく寄与すると考えられる。