著者
弓場 三彩子 荒牧 賢治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.130-133, 2007-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
6

界面活性剤は溶液中で様々な分子集合体を形成し,その構造を制御することで高機能材料として用いることができる。界面や分子集合体構造の制御技術は,生活の中の身近にあるもので馴染み深い洗浄剤・化粧品・食品・医薬品などの製剤技術をはじめ,メソポーラス無機材料の鋳型,ナノ粒子の合成などに利用される。本稿では,界面活性剤溶液系で形成されるミセル,リオトロピック液晶のミクロ構造について解説し,さらに界面活性剤溶液の代表的な諸機能のうち,本来混じり合わない液体同士を微細な液滴として分散させたエマルション,および界面活性剤の可溶化力を最大限発揮して多量の油および水を取り込んだマイクロエマルションについて述べる。
著者
荒牧 賢治
出版者
Japan Society of Colour Material
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.151-155, 2012-04-20

リオトロピック液晶は界面活性剤や脂質が溶媒中で形成する規則構造をもった集合構造であり,濃度,温度を調整することによって得られる。粘稠な性質をもつため,リオトロピック液晶中に水あるいは油を分散させることで高い粘性をもつゲルエマルションが得られる。ここではヘキサゴナル液晶(H<sub>1</sub>)やミセルキュービック相(I<sub>1</sub>)を用いたO/H<sub>1</sub>型,O/I<sub>1</sub>型のゲルエマルションの調製法と粘弾性特性について簡単に述べたあと,透明ゲルエマルションの調製について詳述した。通常のエマルションと同様に,O/H<sub>1</sub>型,O/I<sub>1</sub>型ゲルエマルションは連続相と分散相との屈折率差のため,白濁している。しかし,グリセリンを加えることで透明なO/H<sub>1</sub>型およびO/I<sub>1</sub>型ゲルエマルションを得ることができる。グリセリン濃度を変化させたときに,透明ゲルエマルションが得られる組成と,I<sub>1</sub>相と油相の屈折率が一致する組成が同じことから,連続相と分散相のコントラストマッチングにより透明ゲルエマルションが得られたことがわかった。