著者
松川 順子 荒田 瑶子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.169, 2007 (Released:2007-10-01)

本研究では,彩色された対象物線画を用いて色の適切さが対象物の再認に及ぼす効果を検討した。実験1では,彩色線画の色の適切さ判断を求め,彩色線画の色の適切さとその色の変化が対象物(線画)再認に及ぼす効果を検討した。実験2では,彩色線画の符号化時間による対象物(単語)再認への効果を検討した。その結果,1.適切な色の判断時間が短い,2.学習からテストにかけて色が変化すると,正再認率が低下したり反応時間が長くなる,3.テスト刺激が不適切な色をしていると正再認率が低下したり反応時間が長くなる,4.不適切な色線画での符号化時間が短いと対象物再認成績が低下するという結果が見いだされた。これらの結果は,対象物の同定や符号化に色の適切さが促進効果を持ち,再認段階においても同様の同定過程が再認の反応時間に影響を与えている可能性を示唆している。