著者
赤塚 秀貴 菅 千帆子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.315-321, 2003-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5

下肢部のムクミは, 女性にとって美容上大きな悩みの一つとなっている。近年, その悩みを解消する手段として, エステサロン等におけるマッサージが有用だと言われている。本報ではムクミ改善のためのセルフマッサージをより効果的にする手段を探索し, 化粧品剤型への展開を検討した。下肢部のムクミに関して自覚症状のあった健常女性10名で, ムクミを水置換法により評価したところ, 夕方にかけて2.5%の体積増加を示した。これら被験者で5分間のセルフマッサージ後に6分間の温冷処置を施した結果, 2.5%の体積減少を示したことから, この方法はムクミ改善に有効な手段であることがわかった。このような温冷処置を化粧品にて再現することを試みたところ, 従来のジェル剤型に液化石油ガス (LPG) を高濃度配合したクラッキングフォーム剤型は, 従来品よりもムクミ改善効果が高かった。
著者
菅 千帆子 木村 知史
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.242-251, 1995-11-30 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

化粧行為, 例えばメークアップをしたり香水を使ったりすることの有用性は明白なことであるが, これらの有用性を定量することは容易ではない。というのは, これらが定義したり測定したりすることが困難である心理的・生理的性質を含んでいるからである。我々は, 化粧行為により得られる喜び (pleasure) とユーザーの健康 (well-being) との関係をしらべる過程で, 化粧品を使用することが免疫学的に有用であることを示唆する結果を得た。メークアップを行うことで思わず美しくなった自分をみたとき, それが予想できなかったときほど気分は高揚する。我々は, このような体験が身体の免疫系を活性化し, 同時に免疫抗体濃度を増加させることを発見した。また, 快適な香りを嗅いだときにも同様の免疫反応が起こることも発見した。免疫抗体濃度の変化の定量には, 被験者の唾液中に含まれる免疫抗体「分泌型イムノグロブリンA (S-IgA) を測定した。化粧品における精神神経免疫学的な有用性の発見は, 皮膚表面での機能的効果を越えた化粧品の新しい有用性の探索につながると考えられる。また本研究にて得られた結果は, 化粧品がユーザーの心と身体に有用であることの一つの証拠を示したと考えられる。