著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 下田 和孝 田所 望 古田 裕明
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-84, 2008-07
被引用文献数
1

医学部6年生を対象に,試験におけるマークミスの実態調査を行い,有用な予防対策を検討した. 36人の学生が530問の医師国家試験用模擬試験を解答し,自己採点結果と実際の採点結果を照合した.半数以上の受験生が1問以上のマークミスをおかしていた.ミスの具体的内容では,自己採点が正しいものの,マークは誤っていた場合が45.7〜54.8%と最も多く,選択数を誤っていた場合が30.4%〜35.7%と続いた.また, 5肢複択問題のしめる割合が増えるにしたがって,マークミスの頻度も有意に増加する傾向であった.受験者の正味試験時間を調べると,規定時間の約10%は見直し時間として利用できることがわかった.受験者は,自ら選択した解答肢が正確にマークシートに記入されているかを見直すことで,不本意な失点が防げると思われる.マークミス予防の指導は, fail-safeの対策としても重要であり,医師となった後にも十分役立つと考えられる.
著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 下田 和孝 田所 望 古田 裕明
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.175-178, 2008-10-25
被引用文献数
1

マークミスが生じやすい試験問題を明らかにするために,同一受験生を対象に,問題の種類や解答肢数の違いといった質的な変化あるいは問題数の変化がマークミスの発生頻度におよぼす影響を検討した.医学部6年生が4パターンの試験(530問,複択問題6.8 %;1130問,複択問題2.0 %;530問,複択問題11.8%;530問,複択問題57.2%)を受験し,それぞれにおけるマークミスの発生頻度を調査した.問題数が約2倍になっても,複択問題のしめる割合が低下するとともに,1人当たりのマークミス発生率は有意に低下した.問題形式および問題数が同じ場合,複択問題のしめる割合が4.8倍に増加すると,1人あたりのマークミス発生率は2倍に増加した.問題数を増加させるより,複択問題のしめる割合を増加させた方が,マークミスを誘発しやすいことがわかった.したがって,今後は複択問題のしめる割合を増加させた試験問題を利用して,マークミスの予防対策を講じることが有効と考える.
著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 上田 秀一 下田 和孝 田所 望 古田 裕明 Masahito Hitotsugi Hitoshi Sugaya Hideki Hirabayashi Tadashi Seno Shuichi Ueda Kazutaka Shimoda Nozomu Tadokoro Hiroaki Furuta 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター 獨協医科大学国試教育センター Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine Medical Education Center for National Examination Dokkyo Medical University School of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.77-81, 2010-07-25

試験におけるヒューマンエラーの実態を明らかにし,予防教育の効果を検証するために,医師国家試験模擬試験を利用して受験生がおかすヒューマンエラーを包括的に調査解析した.医学部6年生が2回の医師国家試験模擬試験を受験し,自己採点結果と,マークシートによる機械的採点結果を対比した.2回の試験を通じて,受験生1人が1回の試験で平均1.4個のエラーをおかしていた.エラーの分類別頻度では,2肢選択すべきところを1肢しか選択しなかったエラーが49.1%,1肢選択すべきところを2肢以上選択したエラーが31.6%,選択したものと異なる記号をマークしたエラーが10.5%と続いた.全ての受験者(全受験者)と,2回の試験に参加した受験者(2回受験者)に大別してエラーの発生頻度,エラーの内容について比較した.2 回受験者は,1人当たりがおかすエラー数および2問以上のエラーをおかす人の割合ともに2回目の試験で有意に減少していた. これは,受験者自らがエラーの実態に気付き,そして適切な助言のもとに注意を払って試験に臨んだ結果と思われる.試験におけるヒューマンエラーの実態を明らかにし,それを最小限にくい止める対策は,単に医師国家試験における失点防止だけでなく,ミスをおかしてもそれに気付き,問題解決ができるようなerror tolerantの考え方を養う上でも重要と思われる.We analyzed inadvertent human errors made by 6thgrade medical students during two trial examinations madeup of 500 multiple-choice questions where either one or twocorrect answers were required. Forty and 39 students, respectively,took the two examinations. Students averaged1.4 errors each during the examinations. Most errors( 80.7%) involved selecting the wrong number among the answeroptions( i.e. when a two option selection was required,only one option was selected). The students who had takenboth examinations made significantly less errors in the latterexamination than the former. Furthermore, the prevalenceof students who had made more than one inadvertenterror was significantly lower among students who tookboth examinations. We showed the effectiveness of interventionregarding inadvertent errors during 500 multiplechoicequestion examinations and of educating the studentsabout preventive measures. These results might have auseful application to improved safety promotions based onerror-tolerant theories.