著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 下田 和孝 田所 望 古田 裕明
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-84, 2008-07
被引用文献数
1

医学部6年生を対象に,試験におけるマークミスの実態調査を行い,有用な予防対策を検討した. 36人の学生が530問の医師国家試験用模擬試験を解答し,自己採点結果と実際の採点結果を照合した.半数以上の受験生が1問以上のマークミスをおかしていた.ミスの具体的内容では,自己採点が正しいものの,マークは誤っていた場合が45.7〜54.8%と最も多く,選択数を誤っていた場合が30.4%〜35.7%と続いた.また, 5肢複択問題のしめる割合が増えるにしたがって,マークミスの頻度も有意に増加する傾向であった.受験者の正味試験時間を調べると,規定時間の約10%は見直し時間として利用できることがわかった.受験者は,自ら選択した解答肢が正確にマークシートに記入されているかを見直すことで,不本意な失点が防げると思われる.マークミス予防の指導は, fail-safeの対策としても重要であり,医師となった後にも十分役立つと考えられる.
著者
青山 智哉 鷹見 達也 下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
巻号頁・発行日
no.56, pp.115-123, 2002 (Released:2011-03-05)

1.ブラウントラウトの年齢、成長と成熟を明らかにするため、北海道で採集された175尾のブラウントラウトについて鱗や生殖腺などを調べた。 2.プラウントラウトの1+、2+、3+、4+、5+および6+の4から5月における尾叉長の平均は、それぞれ9.1、19.4、26.4、30.6、38.4および59.9cmであった。 3.成長履歴の解析により、2+の一年間の成長が極めて良い群が認められた。それらのうちの2個体は2+の春に降海していた可能性が高いと考えられた。 4.ブラウントラウトの成熟は、雄では1+から、雌では2+から始まった。 5.紋別川においてプラウントラウトの産卵は11月下旬から始まった。 6.以上のことからブラウントラウトは北海道の自然環境に適応し、河川型から降湖型、降海型へと変化していることが推測された。
著者
下田 和孝 内藤 一明 中島 美由紀 佐々木 義隆 三坂 尚行 今田 和史
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.926-932, 2003-11-15
被引用文献数
2 9

個体標識したサクラマスのスモルトを北海道南部の海域に放流し漁獲による回収結果をもとに放流時のスモルトサイズと回収率および瞬間成長係数との関係を求めた。回収率はスモルトサイズと正の相関を示し,大型のスモルトほど生残率が高いことが示された。一方,スモルトサイズは瞬間成長係数とは負の相関を示し,大型のスモルトほど成長率が低いことが示された。これらの結果から,スモルトサイズの大型化は回帰率の向上には寄与するものの,漁獲サイズの大型化には繋がらないと考えられた。
著者
下田 和孝 青山 智哉 坂本 博幸 大久保 進一 畑山 誠 竹内 勝巳
出版者
北海道立総合研究機構水産研究本部
巻号頁・発行日
no.92, pp.65-77, 2017 (Released:2018-03-23)

北海道の10河川でブラウントラウトの年齢と尾叉長を調べ,ベルタランフィの成長曲線に当てはめた。全河川の測定データから求めた4月時点における各年齢の尾叉長は,1+で12.4cm,2+で20.8cm,3+で28.4cm,4+で35.4cm,5+で41.8cm,6+で47.6cm,7+で53.0cmであった。この成長曲線と各河川の成長曲線を比べたところ,年齢によって大小関係が変化するなど河川毎に特徴が見られた。4河川を対象に性成熟を調べたところ,雄は10月下旬以降に,雌は11月下旬以降に成熟個体が確認され,最低成熟年齢は雄1+,雌2+であったが,いずれも河川による違いが見られた。
著者
安藤 大成 下田 和孝 竹内 勝巳 飯嶋 亜内 卜部 浩一 神力 義仁 中嶋 正道
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.487-493, 2019-09-15 (Released:2019-09-28)
参考文献数
36
被引用文献数
1

サクラマスの脊椎骨数を人工種苗と野生魚で比較した。また,人工種苗が放流されてきた河川のサクラマス野生魚の脊椎骨数を調べた。人工種苗の脊椎骨数は野生魚よりも少ない値を示し,この差異は,発生時の水温の違いにより生じていると考えられた。長期間,種苗放流が行われてきた河川のサクラマス野生魚の脊椎骨数は,近隣河川の野生魚に比べて少ない傾向を示した。これより,種苗放流は野生魚の脊椎骨数に遺伝的な影響を及ぼす可能性が示唆された。
著者
速水 将人 石山 信雄 水本 寛基 神戸 崇 下田 和孝 三坂 尚行 卜部 浩一 長坂 晶子 長坂 有 小野 理 荒木 仁志 中嶋 信美 福島 路生
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.20-00043, (Released:2021-07-10)
参考文献数
47

河川上流域に多数設置された治山ダムは,渓流や森林の荒廃を防ぐ重要な役割を果たす一方で,渓流魚の河川内の自由な移動を阻害している.こうした状況に鑑み,河川生態系の保全を目的とした改良事業(魚道の設置,堤体の切り下げ)が国内の多くの治山ダムで実施されている.本研究では,北海道 3 河川に設置された治山ダムを対象に,魚道設置と切り下げによるダム改良工事が,その上下流の渓流魚類相に与える影響について,改良工事前後で行われた採捕調査によって検証した.同時に,ダム改良後の採捕結果と環境 DNA メタバーコーディングによる魚類相推定結果を比較し,治山ダム改良事業における環境 DNA メタバーコーディングを用いた魚類相推定の有効性を検討した.採捕調査の結果,治山ダムの改良事業によって,遡河回遊魚であるアメマスとサクラマスのダム上流への移動を可能にし,10 年後においても効果が確認された.環境 DNA メタバーコーディングでは,採捕された全 9 種に加え,採捕では確認されなか ったニジマスの計 10 種が検出され,治山ダム上下流に設定した各調査地点における遡河回遊魚のアメマス・サクラマスや,ハナカジカの採捕結果との一致率は 70-90 %であった.環境 DNA メタバーコーディングを治山ダム改良事業に適用する場合,評価対象魚種の特性や過去の採捕記録を考慮する必要はあるものの,改良前の治山ダムにおける魚類の遡上阻害の推定や,改良後の河川の魚類相・生息状況の推定に有効であることが示唆された.但し,治山ダムの切り下げを例にとると,遡上阻害の改善効果が維持される期間は工法によって異なる可能性もあり,正確な評価には様々な河川・工法を対象としたさらなる研究の蓄積が必要である.
著者
古郡 規雄 下田 和孝
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.259-265, 2020-10-25

パーソナリティとは,個人の感情,認識,欲望,行動のパターンにおける一貫性と一貫性を説明するために使用される抽象化されたものである.近年,ビッグ・ファイブ理論の一般的普及や,行動遺伝学,神経生物学等の発展を背景にして,パーソナリティに対する関心が高まっている.次元論的人格理論のうち代表的なものとしては,Cloninger による7次元モデルやCosta & McCrae によるビッグ・ファイブ理論がある.近年の分子遺伝学の進歩によりパーソナリティに関与する遺伝子は数多く,一つ一つの効果は小さいと結論づけられている.本稿では7次元モデルとビッグ・ファイブ理論を紹介し,過去に我々が行った研究ではドパミンDRD4遺伝子多型は新規性追求と血液型ABO 遺伝子多型が固執に影響を及ぼしていた.今後は,脳画像研究や神経生理学的検証でさらなる確認試験が必要となる.
著者
渡邊 崇 古郡 規雄 下田 和孝 Takashi Watanabe Norio Furukori Kazutaka Shimoda
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.73-78, 2020-07-25

父娘がともに注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)を発症した2症例を経験した.ADHDは児童思春期に診察される場合が多いが,成人後にも症状が残遺することもあり,慢性的な疾患であると考えられる.この症例報告では,家族間であっても,有効な治療薬において差異が認められた.このような家族間での差異を多面発現性と多遺伝子モデルに基づいて考察した.
著者
北野 聡 中野 繁 井上 幹生 下田 和孝 山本 祥一郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1837-1843, 1993
被引用文献数
14 17

Diet, foraging behavior, growth, sexual maturity, and spawning site selection were studied in a wild population of exotic rainbow trout <i>Oncorhynchus mykiss </i>in the spring-fed Horonai stream in Hokkaido, Japan. During spring and summer, the rainbow trout ate primarily aquatic and terrestrial invertebrates, but eggs and larvae of river sculpin <i>Cottus nozawae</i> constituted 10% of the diet by number in spring. Rainbow trout typically held focal points in the stream flow and intercepted food items in the drift. Sexually mature individuals caught in late January were ages 1-5<sup>+</sup>. Males ranged 11.0-36.5cm and females 16.8-33.1cm in fork length. Females constructed spawning redds in calm riffles with fine gravel substrate. Our re-sults suggest that introductions of rainbow trout may have detrimental effects on Japanese stream fishes and other aquatic biota through interspecific competition for food and space and/or predation.
著者
下田 和孝 青山 智哉 坂本 博幸 大久保 進一 畑山 誠 竹内 勝巳
出版者
北海道立総合研究機構水産研究本部
雑誌
北海道水産試験場研究報告 = Scientific reports of Hokkaido Fisheries Research Institutes (ISSN:21853290)
巻号頁・発行日
no.92, pp.65-77, 2017-09

北海道の10河川でブラウントラウトの年齢と尾叉長を調べ,ベルタランフィの成長曲線に当てはめた。全河川の測定データから求めた4月時点における各年齢の尾叉長は,1+で12.4cm,2+で20.8cm,3+で28.4cm,4+で35.4cm,5+で41.8cm,6+で47.6cm,7+で53.0cmであった。この成長曲線と各河川の成長曲線を比べたところ,年齢によって大小関係が変化するなど河川毎に特徴が見られた。4河川を対象に性成熟を調べたところ,雄は10月下旬以降に,雌は11月下旬以降に成熟個体が確認され,最低成熟年齢は雄1+,雌2+であったが,いずれも河川による違いが見られた。
著者
古郡 規雄 下田 和孝
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.259-265, 2020-10-25

パーソナリティとは,個人の感情,認識,欲望,行動のパターンにおける一貫性と一貫性を説明するために使用される抽象化されたものである.近年,ビッグ・ファイブ理論の一般的普及や,行動遺伝学,神経生物学等の発展を背景にして,パーソナリティに対する関心が高まっている.次元論的人格理論のうち代表的なものとしては,Cloninger による7次元モデルやCosta & McCrae によるビッグ・ファイブ理論がある.近年の分子遺伝学の進歩によりパーソナリティに関与する遺伝子は数多く,一つ一つの効果は小さいと結論づけられている.本稿では7次元モデルとビッグ・ファイブ理論を紹介し,過去に我々が行った研究ではドパミンDRD4遺伝子多型は新規性追求と血液型ABO 遺伝子多型が固執に影響を及ぼしていた.今後は,脳画像研究や神経生理学的検証でさらなる確認試験が必要となる.
著者
伊藤 富子 工藤 智 下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
雑誌
北海道立水産孵化場研究報告 (ISSN:02866536)
巻号頁・発行日
no.59, pp.11-20, 2005-03
被引用文献数
1

北海道では、2001年に大沼公園内円池でオオクチバスとコクチバスが、2002年に余市町余市ダムでオオクチバスが、2002-2004年に南幌町親水公園池でオオクチバスが、それぞれ捕獲された。余市ダムおよび南幌親水公園におけるオオクチバスの生態的地位と履歴を解明する目的で、オオクチバスの食性を調べると共に、オオクチバスと餌生物の炭素および窒素同位体の分析を行った。また、同位体分析結果の解明のため、オオクチバスの同位体濃縮係数とターンオーバータイムの測定を試みた。その結果、余市ダムのオオクチバスは最近違法放流されたものと推定された。一方、南幌親水公園池では、比較的長い間この水域に生息していた体重500g以上のものと最近放流された体重100g以下の個体の両者が含まれていると推定され、2004年6月に採集された体重300g余の個体は新たにごく最近違法放流されたものであると考えられた。
著者
伊藤 富子 工藤 智 下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
巻号頁・発行日
no.59, pp.11-20, 2005 (Released:2011-03-05)

北海道では、2001年に大沼公園内円池でオオクチバスとコクチバスが、2002年に余市町余市ダムでオオクチバスが、2002-2004年に南幌町親水公園池でオオクチバスが、それぞれ捕獲された。余市ダムおよび南幌親水公園におけるオオクチバスの生態的地位と履歴を解明する目的で、オオクチバスの食性を調べると共に、オオクチバスと餌生物の炭素および窒素同位体の分析を行った。また、同位体分析結果の解明のため、オオクチバスの同位体濃縮係数とターンオーバータイムの測定を試みた。その結果、余市ダムのオオクチバスは最近違法放流されたものと推定された。一方、南幌親水公園池では、比較的長い間この水域に生息していた体重500g以上のものと最近放流された体重100g以下の個体の両者が含まれていると推定され、2004年6月に採集された体重300g余の個体は新たにごく最近違法放流されたものであると考えられた。
著者
安藤 大成 下田 和孝 隼野 寛史 宮腰 靖之
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.298-305, 2016 (Released:2016-06-07)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

サケの雌 5 尾(4 年魚)と雄 9 尾(3 年魚の雄 3 尾,4 年魚の雄 3 尾及び 5 年魚の雄 3 尾)を用いて総当たり交配を行い,稚魚の成長に影響する要因を雄親のサイズと年齢の違いから検討した。また,稚魚の体重に関する遺伝率の推定を行った。雄親の体重と稚魚の体重に明瞭な関係は見られなかったが,5 年魚の雄親から作出した稚魚の体重は 3 年魚や 4 年魚の雄親から作出した稚魚に比べて小さい傾向にあった。遺伝率は稚魚の成長に伴い高くなっていた。これよりサケの雄親の年齢は稚魚の成長に影響する要因の一つであると考えられた。
著者
下田 和孝
出版者
北海道立水産孵化場
雑誌
北海道立水産孵化場研究報告 (ISSN:02866536)
巻号頁・発行日
no.63, pp.21-23, 2009-03

動物の安定同位体比はその餌料生物や栄養段階と良く対応することが知られ、様々な分野で生態学的指標として盛んに利用されている。安定同位体解析では、餌生物と捕食者間での安定同位体比の濃縮係数や、餌の安定同位体比が捕食者の体組織の値に反映されるのに要する時間(ターンオーバータイム)などの基礎的知見が重要であり、これらが生物種によって異なることや、組織や体サイズによっても変化することが知られている。魚類においても安定同位体解析は餌資源の推定などに活用されているが、濃縮係数やターンオーバータイムが明らかにされている魚種は少なく、今後様々な魚種について知見の集積を進める必要がある。本研究ではサクラマス稚魚の筋肉について飼育環境下で炭素・窒素安定同位体比のターンオーバータイムを測定した。
著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 下田 和孝 田所 望 古田 裕明
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.175-178, 2008-10-25
被引用文献数
1

マークミスが生じやすい試験問題を明らかにするために,同一受験生を対象に,問題の種類や解答肢数の違いといった質的な変化あるいは問題数の変化がマークミスの発生頻度におよぼす影響を検討した.医学部6年生が4パターンの試験(530問,複択問題6.8 %;1130問,複択問題2.0 %;530問,複択問題11.8%;530問,複択問題57.2%)を受験し,それぞれにおけるマークミスの発生頻度を調査した.問題数が約2倍になっても,複択問題のしめる割合が低下するとともに,1人当たりのマークミス発生率は有意に低下した.問題形式および問題数が同じ場合,複択問題のしめる割合が4.8倍に増加すると,1人あたりのマークミス発生率は2倍に増加した.問題数を増加させるより,複択問題のしめる割合を増加させた方が,マークミスを誘発しやすいことがわかった.したがって,今後は複択問題のしめる割合を増加させた試験問題を利用して,マークミスの予防対策を講じることが有効と考える.
著者
下田 和孝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.754-757, 2012 (Released:2012-09-08)
参考文献数
36
被引用文献数
5 9 2