著者
菅野 佐織
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.7-17, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
56

近年,マーケティングにおいて,心理的所有感が注目されている。心理的所有感とは,対象に対して人が抱く所有感のことであり,その対象が「私のもの」であるという感覚のことである。デジタル化やシェアリング・エコノミーの拡大の影響によって,消費者が消費する対象は,物質的なモノとは限らず,デジタル財やシェアリング財など,多様な形を取るようになった。心理的所有感は,これらの非物質的な対象や実際には所有を伴わない対象に対しても生じる感覚であり,複雑化する消費者とモノとの関係を解明する鍵概念として捉えられている。本稿では,近年のマーケティングにおける心理的所有感の研究の動向を把握することを目的として,マーケティング領域の有力学術誌に掲載された近年の論文48本のレビューを行うことで,心理的所有感の研究の現状と今後の方向性について検討を行う。
著者
和田 充夫 徳山 美津恵 菅野 佐織 長尾 雅信
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

この研究の目的は当初から地域ブランド構築のためのプランニングとマネジメントモデルを構築することであった。研究は月一回の討論と全国各地における訪問調査であった。宮崎県、愛知県、大分県、長野県、新潟県などにおける訪問調査でも多大な成果をあげた。また、我々は多くの地域に対して地域イメージモデルを作成しインターネット上でイメージ調査を行った。最終的に我々は地域ブランドモデルを開発した。このモデルの特徴は、1)ブランドの定義を元に地域ブランドコンセプトの創り方を開発し、2)ゾーニング概念を導入し、3)コミュニケーション戦略の体系を作成し、4)アクターモデルを導入、最後に5)企業と地域の新たな関係を構築した双方向的な地域ブランドモデルを提案した。これらの成果を踏まえて、我々は2009年6月に「地域ブランドマネジメント」を上梓した。