著者
長濱 澄 菅野 弘朗 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.345-362, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
38

本研究では,オンライン学習を想定した映像コンテンツの高速提示において,学習スタイル別の情報処理プロセスと学習効果の関連性を明らかにすることを目的とした.FELDER の学習スタイル尺度によって分類されたVisual 群20名とVerbal 群20名に対し,講師映像,スライド,字幕から構成された映像コンテンツを1倍速と2倍速の提示条件で提示した.その結果,映像コンテンツの高速提示による認知負荷は,二重チャンネルモデルにおける聴覚チャンネルの情報処理量が増大したことによるものである可能性が示唆された.映像コンテンツの高速提示における教育実践上の配慮として,(1)F-ILS におけるVisual 型学習者のように,視覚チャンネルを中心に情報処理を行う学習者には,聴覚チャンネルにおける情報処理量が過度に大きくならない程度の再生速度で提示する,(2)F-ILS におけるVerbal 型学習者のように,聴覚チャンネルを中心に情報処理を行う学習者には,内容が簡略化された視覚テキストを提示することが挙げられる.