- 著者
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高村 禅
民谷 栄一
馬場 嘉信
菊地 純
石原 一彦
- 出版者
- 北陸先端科学技術大学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2001
本研究はμ-TASやLab-on-a-chipと呼ばれる分野において高集積化の鍵である、小型・高性能で組み合わせても互いに干渉しない流体駆動装置の開発と、それを利用したシステム構築の方法論やアーキテクチャの実例を研究することを最終目的とし、研究を行った。その結果、電気浸透流ポンプの低電圧化と高性能化では、15Vで240nL/minと従来の80倍の流量を得た。また電圧を積算せず圧力を積算できるカスケード構造を発案し、10V、10段で、25000Paの圧力を得た。従来のものより10^3-10^4倍高性能である。歩留まり良く、耐圧の高いゲル電極も開発した。ステップ部のコーティングは、サイトップが有効である。電界無リーク型電気浸透流ポンプは、閉ループの中に挿入可能なほか、複雑な電位計算をせずに集積化化学デバイスの任意の場所に挿入可能なため、集積化に大いに貢献する。これを応用した、ダメージフリーセルソータは、ソータ同士を互いに接続するマルチソーティングや、前段、後段のほかの流体デバイスに接続できるというほかのソータにない、集積化に重要な特徴を備えている。研究の途中で偶然見つかった、DNAトラップは前処理に画期的な進展をもたらすと期待されている。積年の問題であった、電気浸透流ポンプの不安定要因は、電極周りでおきる電気分解に起因すると突き止められ、電極材料の変更で、100倍以上の長寿命化に成功した。上記の問題と解決とともに、気泡の発生が抑えられたため、完全密閉化が可能になった。通過検出を用いたアーキテクチャーを新たに提案した。また、これに適した通過検出法を開発した。以上により、本研究は、前述の最終目的のために十分前進した成果が得られた。