著者
馬場 嘉信
出版者
Division of Chemical Information and Computer Sciences, The Chemical Society of Japan/Division of Structure -Activity Studies, The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
情報化学討論会・構造活性相関シンポジウム講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.K20, 2001 (Released:2001-10-24)
参考文献数
14

Since human genome sequencing has been almost completed, human genome project will quickly move on to the post genome sequencing era towards the future personalized medicine. Capillary array electrophoresis with 96-384 capillaries plays a vital role in the genome sequencing era and the eight to nine order increase in DNA sequencing efficiency was achieved during last three decades. But in the post genome sequencing era, further development of analytical technology for DNA, mRNA, protein, and metabolites is highly required. Such drastic improvement in speed and cost for sequencing requires aggressive technological innovation fuelled by major investment. Improvements are needed to move current dideoxy sequencing to smaller volumes and more rapid sequencing times, based upon advances such as microchannel electrophoresis. More revolutionary methods, such as mass spectrometry (MS) and nanotechnology including single-molecule sequencing and nanopore approaches, have note been fully developed, but hold great promise and deserve strong encouragement. The microchip-based technology will be a key technology in the post-genome sequencing era, since even revolutionary methods as well as microchannel electrophoresis will be able to develop on a chip. Recent progress in microfabrication and nanofabrication technologies based on computer chip technique induces the new research area for integrated microchip and nanochip technology. Investigation of integrated microchip technology is developing towards the integration for whole steps required for the personalized medicine.
著者
馬場 嘉信
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.775_1, 2015

シリコン上に,DNAの直径と同程度(2nm)の孔(ナノポア)を形成し,ナノポア中にDNAが通り抜ける間隔で電極を作成したデバイスを用いて,DNAのシークエンシングを行う技術である.ナノポア中の電極間にトンネル電流を流し,1分子の1本鎖DNAを一定速度で通過させると,DNAの各塩基の電子状態の違いにより,トンネル電流値が変化するために,その変化量を解析しDNA配列を解読できる.DNA解読速度は,1秒間に1,000塩基程度であり,1,000個のナノポアを並列化することで,1時間で30億塩基のヒト・ゲノム解析が可能になる.DNAのみならず,RNA,メチル化DNA,タンパク質もシークエンシング可能である.
著者
原島 秀吉 紙谷 浩之 山田 勇磨 畠山 浩人 馬場 嘉信 秋田 英万
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

我々が独自に開発したin vivoがん送達型多機能性エンベロープ型ナノ構造体(PPD-MEND)に、がん細胞で選択的に発現している遺伝子に対するsiRNAを搭載し、抗腫瘍効果を誘起することができ、かつ、安全性の高い人工遺伝子デリバリーシステムを開発し、がん治療へと応用することを最終目標とした。その結果、shGALA修飾PEG-MENDは、静脈内投与により腫瘍組織でmRNAをノックダウンし抗腫瘍効果を誘起できることがわかった。
著者
安井 隆雄 馬場 嘉信
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.413-419, 2015-06-05 (Released:2015-07-07)
参考文献数
27
被引用文献数
4

ナノバイオデバイスによる単一分子・単一細胞計測技術の開発が,従来の発症後診断・治療に基づく医療から発症前診断・発症予測に基づく予防・先制医療へとパラダイムシフトを起こしている.本稿では,ナノバイオデバイスのうち,ナノピラー,ナノボール,ナノファイバー,ナノワイヤを用いた単一デオキシリボ核酸(DNA)解析,量子ドットによる単一細胞解析とiPS細胞再生医療のための量子ドットin vivoイメージングの成果について解説する.
著者
喜羽 百合子 馬場 嘉信
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.193-203, 1999-02-05
被引用文献数
7 3

ヒト・ゲノム解析が進むにつれて, ヒト・ゲノム上の3塩基の繰り返し配列の伸長が発症と深く関連した疾患が発見され, これらは, トリプレットリピート病と呼ばれるようになった. 最近, トリプレットリピート病のDNA診断法が開発されたが, これらの方法では, DNAの解析にゲル電気泳動が用いられ, 自動化・高速化の点で非常に遅れている. そこで, 本研究では, 高速・高性能なDNA解析法であるキャピラリー電気泳動によるトリプレットリピート病のDNA診断システムの開発を目標として, 特異な高次構造を形成すると予想されるGCリッチなトリプレットリピートDNAフラグメントの泳動挙動を高分子物理学的理論に基づいて詳細に検討した. 一本鎖DNAマーカーの泳動挙動を基に, トリプレットリピート病のDNA診断法として開発されたrepeat expansion detection (RED)反応により生成するDNAのモデル化合物として, 一本鎖トリプレットリピートDNAフラグメントを合成し, その泳動挙動を解析した. その結果, すべてのトリプレットリピートDNAフラグメントの移動度はマーカーと比較してかなり大きくなった. これはトリプレットリピートDNAフラグメントの泳動挙動の非常に重要な特徴であり, その高次構造が大きく影響しているものと思われる. トリプレットリピートDNAフラグメントとDNA分子量マーカーの移動度について, reptation理論に基づき解析し, DNAの柔軟性の指標となる持続長を計算した. その結果, トリプレットリピートDNAフラグメントで柔軟性が低下していることが明らかとなった. このことは, トリプレットリピートDNAが特異的なヘアピン構造を形成することを示している.
著者
高村 禅 民谷 栄一 馬場 嘉信 菊地 純 石原 一彦
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究はμ-TASやLab-on-a-chipと呼ばれる分野において高集積化の鍵である、小型・高性能で組み合わせても互いに干渉しない流体駆動装置の開発と、それを利用したシステム構築の方法論やアーキテクチャの実例を研究することを最終目的とし、研究を行った。その結果、電気浸透流ポンプの低電圧化と高性能化では、15Vで240nL/minと従来の80倍の流量を得た。また電圧を積算せず圧力を積算できるカスケード構造を発案し、10V、10段で、25000Paの圧力を得た。従来のものより10^3-10^4倍高性能である。歩留まり良く、耐圧の高いゲル電極も開発した。ステップ部のコーティングは、サイトップが有効である。電界無リーク型電気浸透流ポンプは、閉ループの中に挿入可能なほか、複雑な電位計算をせずに集積化化学デバイスの任意の場所に挿入可能なため、集積化に大いに貢献する。これを応用した、ダメージフリーセルソータは、ソータ同士を互いに接続するマルチソーティングや、前段、後段のほかの流体デバイスに接続できるというほかのソータにない、集積化に重要な特徴を備えている。研究の途中で偶然見つかった、DNAトラップは前処理に画期的な進展をもたらすと期待されている。積年の問題であった、電気浸透流ポンプの不安定要因は、電極周りでおきる電気分解に起因すると突き止められ、電極材料の変更で、100倍以上の長寿命化に成功した。上記の問題と解決とともに、気泡の発生が抑えられたため、完全密閉化が可能になった。通過検出を用いたアーキテクチャーを新たに提案した。また、これに適した通過検出法を開発した。以上により、本研究は、前述の最終目的のために十分前進した成果が得られた。
著者
馬場 嘉信 富崎 理代 角田 ちぬよ 田中 淳子 秀 佳余子 津波古 充朝
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.853-857, 1993-12-05
被引用文献数
4 1

DNAの高分解能分離を達成するために, キャピラリーゲル電気泳動におけるゲル組成が, DNAの分解能に与える影響について検討した.1本鎖DNAの分離においては, 非架橋ポリアクリルアミドのゲル濃度について検討し, 最適条件下では, オリゴマーから250塩基までの1本鎖DNAが60分以内に1塩基の違いのみでベースライン分離された.又, 2本鎖DNAの分離においては, 架橋ポリアクリルアミドゲルのゲル濃度及び架橋度を検討し, 最適条件下では, PCR生成物を含む100から12000塩基対の2本鎖DNAが, 40分以内に10塩基程度の違いで分離された.その際の理論段数は, 1m当たり数百万段であった.