著者
広瀬 茂男 福田 靖 菊池 秀和
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.304-324, 1985-08-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
9 14

歩行機械は, その高い自由度を生かすことにより, 高度の運動性能と, 対地適応性を発揮してゆくものと期待される.これまで歩行機械の歩容制御については, いくつかの基本的考察がなされている.しかし, 制御システム全体の構造とその中の主要なサブシステムの機能を有機的に連携づけ総合的に論ずることは, まだほとんど行なわれていない.本研究は, 筆者らが開発を進めている4星歩行機械を対象にして, その制御システムを論ずるため, まず問題の設定と基本となる概念の設定を行なう.ついでレベルA, B, Cと名付けた3つの階層からなる制御系の全体構造を明らかにすると共に, 特にレベルBに属する3つのサブシステム, つまりxy座標での歩容決定, z座標での歩容決定, 振り上げ振り降しも考慮した遊脚の軌道生成についての詳細な検討を行う.さらに基本的運動調整系を行うレベルCについて, その具体的構成法も論ずる.最後に, それらの有効性は計算機シミュレーションで確認するとともに, 試作した歩行機械TITAN IIIのジョイステックコントロールによる全方向移動, 凹凸面での適応側行歩行などの歩行制御実験により検証する.