著者
三好 康之 亀田 雅博 上利 崇 菊池 陽一郎
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

視床下核などに対する深部脳電気刺激療法(DBS)は、パーキンソン病(PD)患者のwearing-offを改善し、ADL、QOLの向上をもたらすことが可能なため、重度のPD患者に対する有用な治療手段として確立している。近年、諸外国より、認知行動療法、薬物療法などのいかなる治療によっても十分な効果を得られなかった重度のうつ病患者に対してDBSが有効だったという報告が相次いで寄せられている。しかし、我々日本の脳外科医の立場からすると、動物実験に基づくscientificなデータの乏しさゆえ、DBSでうつ病を治療することが、医学的にも倫理的にも妥当なのか判断できないのが現状である。このような背景から、本研究ではうつ病に対するDBSの効果について、動物実験によるscientificな評価を行うことを目標として、今年度はうつ病モデルとしてどのモデルを利用するか検討した。これまでの報告では、うつ病モデルとしては、Tail suspension model、Forced swim model、Learned helplessness modelといったものがあり、これらはすでに抗うつ薬の評価などで用いられており、うつ病モデルとしてすでに十分に確立されているが、検討を重ねた結果、モデル作成から治療効果の評価といった一連の過程において安定した実験結果を得るためにはForced swimならびに,learned helplessnessを利用した市販システムを用いて実験を組むのがベストという結論を得た。