著者
華表 宏有
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.193-211, 1989-06-01 (Released:2017-04-11)

本研究は, さきに日本カトリック医師会(阿武保郎会長)に設置された「家族計画と性に関する諸問題」専門委員会が, 1988年3月から4月にかけて実施した「性のあり方と生命倫理等に関する意見調査」の回答の中から, 特に受胎調節, NFP(Natural Family Planning)および医師としての人工妊娠中絶とのかかわり方について設問した3問を取り上げて, 詳しく解析したものである. 有効回答229人の結果について, 性, 年令, 受洗年令, 地域, 専攻分野ならびに過去3年間の会費納入の有無の6つの背景要因を取り上げて, 重回帰分析を行った. その結果, 3問とも年令によって意見が異なっているほか, 受胎調節, NFPについては大司教管区別に地域差のあることが把握された. 以上の知見を説明するために, 5つの作業仮説(A-E)を想定し, さらに関連した生命倫理ないし医学倫理上の学際的研究と, 医師としての生涯研修の必要性について考察した.