著者
寺地 智弘 岩田 法親 菱山 信也 舟場 正幸 松井 徹
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-11, 2015-04-10 (Released:2016-04-11)
参考文献数
21

ネコにおける被毛中水銀濃度と各種疾病の関係の予備的検討として、動物病院に来院した健常ネコ(n=33)と疾病ネコ(n=67)の被毛中水銀濃度を測定した。次いで、健常ネコの被毛中水銀濃度から暫定参照値上限を算出し、各種疾病のネコにおける被毛中水銀濃度との比較を行った。健常ネコの被毛中水銀濃度は0.2~6.4 mg/kgの範囲であった。得られた暫定参照値上限は9.2 mg/kgであり、健常ネコで暫定参照値上限を上回る個体は無かった。疾病ネコの被毛中水銀濃度は0.1~17.5 mg/kgの範囲であり、2頭の被毛中水銀濃度が暫定参照値上限を上回っていた。本試験では、ヒトやネコでの水銀中毒症として報告されている精神神経系疾患のネコが3頭、また、ヒトでの水銀中毒症として報告されている循環器系疾患のネコが3頭認められたが、いずれも暫定参照値上限を下回っていた。一方、口内炎と診断されたネコ4頭の内、2頭が暫定参照値上限を大きく上回っており、ネコにおける口内炎の一部が水銀過剰摂取と関連する可能性は否定できなかった。
著者
林 海鷹 松井 徹 堀江 崇文 菱山 信也 藤瀬 浩 矢野 秀雄
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-56, 2003-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
17

一般臨床上健康な48頭の柴犬から採血を行い,高圧液体クロマトグラフィーにより血漿中ビタミンC濃度を測定した。供試犬の年齢構成は1歳未満4頭,1-2歳12頭,2-5歳7頭,5-10歳12頭,10歳以上13頭であり,性の構成は,雄13頭,雌28頭,避妊雌7頭であった。血漿中ビタミンC濃度は年齢の影響を受けたが(P<0.001),性の影響および年齢と性の交互作用は認められなかった。1歳未満の柴犬は,1歳齢以上のイヌと比較し血漿中ビタミンC濃度が高かった(P<0.01)。一方,1歳齢以降では加齢に伴う血漿中ビタミンC濃度の変化は認められなかった。1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度は7.00±1.10mg/L(平均±標準偏差)であり,1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度の標準的な値は4.8-9.2mg/L(平均±2×標準偏差)程度であることが推察された。