著者
萩原 俊紀
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.510-513, 2011-10-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
6

クメン法は開発されて半世紀以上が経った今でもフェノールの工業的合成方法の主流となっている優れた反応である。高校の教科書にも必ず記載されているが,その反応機構についてはまったく触れられていない。それはこの反応がプロピレンとベンゼンの求電子置換反応,ラジカル連鎖機構によるクメンの空気酸化,アニオン転位を伴うクメンヒドロペルオキシドの酸分解などを含む,高校の有機化学の範囲をはるかに超えた複雑な機構で進行しているためである。本講座では有機化学の基本となる電子と結合の関係から始まって,クメン法の反応機構をできるだけ平易に解説する。
著者
石川 英章 室賀 嘉夫 星 徹 萩原 俊紀 矢野 彰一郎 澤口 孝志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.207, 2004 (Released:2010-03-29)

我々は気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つ超臨界二酸化炭素(scCO2)流体を用いて、汎用結晶性高分子のラメラ繰り返し構造間の全ての非晶層に通常熱力学的に混じり合わない非晶性高分子を結晶が融解しない条件で分子分散させるナノハイブリッドの創製を目指している。既にイソタクチックポリプロピレン(ipp)にメタクリル酸メチル(MMA)を含浸・重合して調製したハイブリッドはiPPの結晶領域をほとんどそのまま保持し、生成したPMMAがPPのラメラ繰り返し構造間の非晶層にナノメートルオーダーで分散していることを見出した。本研究では結晶が融解する温度においても形成されたナノ分散構造が容易に崩壊しない分散系を調製し、その構造を解析した。