著者
萩原 育夫 大西 有三 佐々木 猛 西山 哲
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.357-367, 2009-12-25 (Released:2009-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

不連続変形法を用いた落石シミュレーションにおける形状パラメータ設定方法の体系化を目的として,落石の形状特性に関する定量的指標の導入について検討した。落石の形状特性を表す指標としてアスペクト比,円形度,形状エントロピーに着目し,跳躍過程を主体とする解析ケースを対象とした感度解析並びに落石崩落事例解析を行って各形状指標の適用性を検討した。検討結果から,着目した形状指標のうち曲率に関する形状エントロピーと円形度は落石ブロックの形状特性に関連した跳躍時の射出方向変化や崩落時のエネルギー減衰等のシミュレーション結果に対応することを明らかにし,実際の落石崩落を対象とした事例解析において各指標の有効性を把握することができた。これらの形状指標を解析パラメータの設定に導入することは,落石の形状特性把握における主観的誤差の低減や,合理的な落石シミュレーションの実施に有効と考えられた。