- 著者
-
落合 良行
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.162-170, 1974-09-30 (Released:2013-02-19)
- 参考文献数
- 23
青年期の基本的感情であるといわれている孤独感について, その構造をQ技法を用いて検討した。対象は, 高校生であった。まず, 青年が現実にいだいている孤独感の実態を知るために, オリジナルなSCTをつくり実施した。その結果をもとに, 孤独感の構造についての仮説をたて, Q技法による検証を行なった。その結果, 互いに独立な少なくとも2次元が, 孤独感の構造であることがわかった。その2次元とは,(1) 人間同士共感しあえると感じ (考え) ているか否か。(2) 人間 (自己) の個別性に気づいているか否か, である。次に, 孤独感の類型化の方法について検討を行なったところ, 以上の2次元の組合せによる類型化が, 適当であることがわかった。つまり, それにより孤独感を一応 4類型に分けることができた。更に, 類型からみられる現代青年の特徴を検討したところ, 一般にいわれている「現代青年は, 感傷的な孤独感をもつことはあっても自己の存在を自覚するという意味での孤独感を味わうことはごく少ない」ということには, 今後再吟味の余地があることが示された。