著者
酒井 久裕 落合 鍾一 上野 學
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.657-664, 1989-04-01 (Released:2009-06-19)
参考文献数
22
被引用文献数
2

The purpose of this work is to present results on the mechanical properties of SUJ 2 bearing steel improved by a cyclic heat treatment. The structure of thermally cycled steel consists of fine-grained ferrite particles of the size under about 2 μm containing fine cementite particles of the size about 0.2μm. Thermally cycled steel was found to be superplastic at 710°C, just below A1 temperature, at an initial strain rate of 1.67 × 10 -4s -1, i.e. elongation to failure was about 500% and the strain rate sensitivity, m value, was about 0.4. The activation energy of about 180 kJ/mol, which is nearly equal to that of grain boundary diffusion of Fe atoms in α-iron, was obtained for this plastic deformation. Furthermore the rolling contact fatigue life test was performed at room temperature under constant load. The fatigue life of SUJ 2 steel thermally cycled was found to be prolonged (about 2.5 times) as compared with that of conventional one.
著者
小島 陽 落合 鍾一 福沢 康
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

機能的かつ機械的性質に優れたウィスカ強化アルミニウム合金複合材を得るには、製造法がポイントとなり、いかにウィスカを均一に分散させるかにある。現在のところ製造法には、大別して鋳造法と粉末冶金法がある。本研究では、粉末冶金法でウィスカ強化アルミニウム合金複合材を得る製造工程を確立し、複合材の特徴である耐熱性、耐摩耗性にも優れた高性能製品の作製のための基礎データを集め、また得られた複合材の高温特性を調べ、金属組織学的立場から高温特性と金属下部組織との関連を明らかにすることを目的とした。本研究に用いた粉末法は、SiCウィスカとA6061アルミニウム合金粉末を混合後、ホットプレスで一次成形した後さらに熱間押出しを行ない複合材を製造し、機械的特性や摩耗特性について調べた。特に、SiCウィスカの前処理、アルミニウム合金粉末の粒度、混合方法の影響について調べ、複合材の製造における問題点を考察した。本研究で得られた成果をまとめると以下のとおりである。SiCウィスカに前処理を施して、44μm以下のアルミニウム合金粉末を用いることにより強度は向上した。混合方法としてボールミルを用いると、ウィスカの体積率で5%、マグネットスターラを用いるとウィスカの体積率で2%までの複合材で強度の向上がみられた。混合方法によりウィスカの損傷や分散状態に差が生じ、これが強度に大きな影響を及ぼしていることが示された。また、ウィスカの損傷は、押出し工程までに激しくなり、アスペクト比も混合方法などに関係なく一定となった。SiCウィスカ強化アルミニウム合金複合材は、ウィスカ体積率10%で耐摩耗性が母材のアルミニウム合金の約3倍と非常に大きな結果となり、耐摩性材として有効であることが明らかとなった。