著者
猪狩 公宏 藍原 有弘 落合 高徳 熊谷 洋一 山崎 繁
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.1708-1713, 2010 (Released:2011-01-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

目的:鼠径部ヘルニア手術に対する局所麻酔法と腰椎麻酔法との比較検討を行った.方法:対象は,当院で2008年5月~2009年11月の1年6カ月間に膨潤局所麻酔法にて局所麻酔下ヘルニア根治術を施行した25例27病変と,同時期に施行した腰椎麻酔下ヘルニア根治術46例50病変とを比較検討した.結果:局所麻酔群は男性22例,女性3例.平均年齢は64.4歳.片側ヘルニアが23例,両側ヘルニアが2例.ヘルニアのタイプは,外鼠径ヘルニアが22病変,内鼠径ヘルニアが5病変.施行術式はMesh-plug法が26病変,Marcy法が1病変.腰椎麻酔群と比較し,患者背景,手術時間,術後の疼痛コントロールにおいて有意差を認めなかったが,手術室在室時間は有意に短く,入院期間の短縮も可能であった.結論:局所麻酔下手術は術後の早期離床,早期退院が可能であり,医療経済も含め腰椎麻酔下手術より優れていることが示唆された.