著者
葦沢 元春 渡辺 功 中林 宣男
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.860-865, 1992-09-25
被引用文献数
6

象牙質への接着メカニズムをより明確にするために象牙質ではなくゾウゲ棒へのMMA-TBBレジンの接着を再検討した.研削ゾウゲへのMMA-TBBレジンの接着強さは14MPaであったが研削象牙質へのそれは5MPa以下である.研削ゾウゲに拡散したMMAを重合して得られる樹脂含浸層の幅は50μmであったが, 象牙質へはMMAは拡散できない.このことから, 象牙質よりもゾウゲの方がモノマーの透過性が格段に高いといえる.従ってMMAの拡散能を向上させる4-METAはゾウゲへの接着には不要であるが, 象牙質の接着には必須である.被着体内へのモノマー透過性とモノマーの拡散能の2つの因子がモノマーの拡散に関係する.歯への接着には, 被着体の中へモノマーを拡散させ重合させることが不可欠であると結論された.