著者
平木 講儒 藤井 和希 緒方 尚樹
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.30, no.119, pp.16, 2010 (Released:2012-04-14)
参考文献数
17

フェザリングを伴う4枚翼型羽ばたき機の飛行時の省エネルギ化を目指し,トンボが断続的に一対の翅の羽ばたきを中断して体力を温存する事実に着想を得て,前翼・後翼のいずれが固定化に適しているかを評価するため,風洞内にて一方の翼を羽ばたかせた際に固定翼側に発生する空気力を測定した.前翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動とほぼ同位相の空気力が後翼に発生するのに対し,後翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動に対して逆位相の揚力が前翼に発生した.羽ばたき・固定翼周りの流れ場の可視化を行ったところ,固定翼(前翼)上面の剥離が抑制されることで逆位相の揚力が発生すると考えられた.以上に基づき,前翼固定・後翼羽ばたき式の機体を製作して飛行実験を行ったところ,水平飛行が可能であることともに,4枚すべての翼を羽ばたかせる場合の30%強の消費電力で済むことも示された.