著者
雛田 元紀 中島 俊 稲谷 芳文 平山 昇司 石井 信明 平木 講儒 矢島 信之 山上 隆正 松坂 幸彦 鳥海 道彦 他気球グループ
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: 大気球研究報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.32, pp.37-45, 1995-03

1992年9月2日, 高度約31kmに浮遊した気球(B30-62)から自由落下させたカプセルを使って超音速パラシュート開傘試験を行った。気球ゴンドラからの分離から約52秒後にカプセルが最高速度(マッハ1.3)に達した時点で半球リボン傘(ヘミスフロパラシュート)を放出, 開傘時の機体加速度や圧力などを測定した。また, カプセル内部に搭載したCCDカメラによって超/遷音速流中におけるパラシュートの振動や安定性を撮像した。気球による超音速パラシュート実験は引き続いて行われる観測ロケット(S-520-16号機)実験の事前評価を行うための予備的な飛翔実験として実施され, 気球実験結果に基づいてロケット実験を行う際に重要となるパラシュートの開傘秒時や放出速度を決定した。資料番号: SA0167055000
著者
平木 講儒 藤井 和希 緒方 尚樹
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.30, no.119, pp.16, 2010 (Released:2012-04-14)
参考文献数
17

フェザリングを伴う4枚翼型羽ばたき機の飛行時の省エネルギ化を目指し,トンボが断続的に一対の翅の羽ばたきを中断して体力を温存する事実に着想を得て,前翼・後翼のいずれが固定化に適しているかを評価するため,風洞内にて一方の翼を羽ばたかせた際に固定翼側に発生する空気力を測定した.前翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動とほぼ同位相の空気力が後翼に発生するのに対し,後翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動に対して逆位相の揚力が前翼に発生した.羽ばたき・固定翼周りの流れ場の可視化を行ったところ,固定翼(前翼)上面の剥離が抑制されることで逆位相の揚力が発生すると考えられた.以上に基づき,前翼固定・後翼羽ばたき式の機体を製作して飛行実験を行ったところ,水平飛行が可能であることともに,4枚すべての翼を羽ばたかせる場合の30%強の消費電力で済むことも示された.
著者
平木 講儒
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
no.103, pp.1-55, 1999-03

近年, 火星・小惑星などの天体からサンプルを持ち帰るサンプルリターン計画において採集されたサンプルを地球に持ち帰る際に必要な再突入カプセルは主として受動的な空力安定性に頼って安定な飛行を達成することが多いが, これまでに行われたカプセル型物体の安定性についての研究から, 静的には安定であっても, 特に遷音速域において動的には不安定になり運動が発散する傾向があることが指摘されている。 本研究は, 扁平な形状を有するカプセル型物体に見られる動的不安定性現象に着目し, 実機飛翔の定量的な運動の予測をするための手順を確立すること, およびこれまでの研究で明らかにされなかった動的不安定性の発生メカニズムを理解することを目的とし, 風洞内で1自由度の回転運動を許容した模型の運動の観察および表面圧力の測定により実験的事実を蓄積し, それを基に動的な空気力を簡潔に表現した結果を用いて実機飛翔の運動を予測し, 実機飛翔結果と比較するというアプローチにより, 動的不安定性はカプセル背面の圧力変動によるものであること, その結果カプセルに生じる運動は流れ場との連成により達成される安定状態と考えられること, その運動の最大振幅はカプセル形状が相似であればマッハ数のみの関数として一意的に決められること, ここで示した手順により実機飛翔の運動の最大振幅は予測可能であることを示したものである。
著者
小川 博之 小林 康徳 平木 講儒
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

固体ロケットプルームによる電波干渉の直接的原因として,(1)燃焼ガス中に含まれるアルミ・アルミナ粒子による散乱吸収,(2)燃焼ガス中に含まれる自由電子,を取り上げ,それぞれについて電波減衰量を見積もった実験で観測される減衰量,電波減衰の周波数依存性から,電波干渉の直接原因は燃焼ガス中の自由電子であると結論づけた.自由電子による電波減衰を評価するパラメタである,自由電子密度と電子衝突周波数を求めるための解析モデルを構築した燃焼ガス流れ中の自由電子密度変化を解析できるモデルにより,プルーム中の自由電子密度分布を求めたプルーム中の化学反応は凍結しており,自由電子のモル分率は変化しないこと,自由電子数密度は巨視的物理量から求めることができることを示した.混相流解析を行い,アルミ・アルミナ粒子が流れ場に及ぼす影響が小さいことを示した.1次元プラズマスラブを仮定した電波減衰解析,2次元プラズマモデルによる電波の伝播解析を行った.電波の回折・屈折の効果は無視できないことがわかった.電波減衰量は周波数に対して弱い負の相関があること,電子密度に比例し電子衝突周波数に反比例することを示した.地上燃焼試験において,電波とロケットモータプルームの干渉実験を行ったモータの燃焼末期を除き定性的に理論どおりの結果が得られた.自由電子数密度が理論よりも小さく見積もられたが,これは不純物Naの量を実際と比べて大きく見積もっていたためと考えられる.燃焼中モータプルームによる電波の変調はないことがわかった.燃焼末期の電波減衰の振る舞いは現時点では説明がつかないため,今後研究を継続して明らかにする必要がある.今後,実際のロケット飛翔へ適用できる解析ツールの整備を行っていく予定である.