著者
内田 真之 山口 薫 藤井 康友
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.67-77, 1993

地震探査データにみられる炭化水素の存在と直接に関わっている現象いわゆるDHI (Direct hydrocarbon indicator) による炭化水素検知の手法として, 近年AVO (Amplitude variation with offset) 解析が注目を集めている。同解析は地震波の入射角の変化に伴う反射波の振幅の変化を観測することによって炭化水素貯留層を直接検知しようとするものであり, 重合断面上の特徴的なアノマリーの観測のみによる炭化水素検知法に比べてより精度の高い対比ができるものと期待されている。<br>AVO現象はP波の伝播速度および密度の他にポアソン比 (あるいはS波の伝播速度) というもう1つの岩石物性の変化にも起因するため特にガス貯留砂岩層の検知に有効であることが知られているが, データ処理において重合前の多くのデータを使用するためノイズ除去や振幅保存などに通常処理よりも大きな注意を払う必要がある。本スタディの対象となったエリアは東マレーシアの陸上地域で, 中新世~鮮新世に堆積したデルタ成の砂泥互層の発達が卓越し試掘によりこれらの砂泥互層中に複数の砂岩ガス層が存在することが確認されている。またこの地域では通常処理震探断面上で異常振幅やホライゾンの下方湾曲が観測されており, これらのアノマリーがガス層の存在に起因するものと期待されていたが, ガス層発見井の坑井データによりこれらの異常が必ずしもガス層の存在にのみ起因するものでは無いことがわかった。<br>本スタディではまず坑井データに基づきガス層でのP波伝播速度の減少を推定し, さらに密度の観測データとS波伝播速度の変化の推定からガス層上面での入射角の変化に伴う振幅変化の予測を行った。次にガス層が確認された構造とその背斜トレンドの延長部に存在する未試掘プロスペクトのそれぞれ頂部を通る測線の震探データに前処理を施した後AVO解析を行った。その結果使用したデータが比較的S/N比や重合数が低くAVO解析には必ずしも適していなかったものの, AVOの解析結果にみられる異常はガス層とよい対比を示した。また未試掘構造ではAVO解析の結果顕著な異常は認められなかった。
著者
鯉渕 晴美 藤井 康友
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

表皮ブドウ球菌が生成したバイオフィルムに対し超音波を照射すると、これまで報告されてきた超音波強度よりも弱い強度でも、24時間照射すればバイオフィルムは破壊されることがわかった。さらに、培養皿に表皮ブドウ球菌液と液体培地を混和し、ここに超音波を照射することによって、超音波照射はバイオフィルム生成阻害にも寄与することが判明した。また、バイオフィルム生成の初期段階に超音波を照射すれば、より短時間の照射でも(20分)バイオフィルム形成阻害効果があることが証明された。これらより、カテーテル関連バイオフィルム血流感染症の発症予防に超音波照射が有用でありさらに実現可能であることが示唆された。