- 著者
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藤井 歌倫
川上 敬子
宮本 真豪
明樂 一隆
三澤 亜純
中尾 紗由美
田内 麻依子
宮村 知弥
中林 誠
丸山 大介
中山 健
佐々木 康
森岡 幹
- 出版者
- 昭和大学学士会
- 雑誌
- 昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.4, pp.266-271, 2023 (Released:2023-08-30)
- 参考文献数
- 15
子宮内膜症のリンパ節での発生は稀少部位子宮内膜症とされている.子宮内膜症のリンパ節病変は骨盤内リンパ節が多く,骨盤内の深部子宮内膜症を伴うことが多い.今回,深部子宮内膜症を伴わない傍大動脈リンパ節子宮内膜症の一例を経験した.症例は44歳,過多月経による貧血のため,当科へ紹介となった.MRI検査で子宮腺筋症および子宮筋腫を認めた.子宮筋腫は8.7cm大で,拡散強調画像で軽度高信号とADC mapで一部低信号を呈したため悪性を否定できなかった.全身検索のため造影CT検査を施行したところ,多発肺動脈血栓と左下肢静脈血栓,12×25mm大の嚢胞状に腫大した右傍大動脈リンパ節を認めた.抗凝固療法および下大静脈フィルター留置後に腹式子宮全摘術と両側卵管摘出術と右傍大動脈リンパ節生検を施行した.術中所見では,骨盤および腹腔内に内膜症病変を認めなかった.術後病理診断では,子宮筋腫と子宮腺筋症に悪性所見を認めなかった.腫大リンパ節に内膜症病変を認めた.子宮内膜細胞がリンパ管や血管を介して骨盤外臓器に出現することが報告されていることを考慮すると,孤立したリンパ節に子宮内膜症が発生したものと考えられた.今回は偶発的に発見されたが,嚢胞状に腫大したリンパ節病変を認めた場合,悪性疾患によるリンパ節転移のほかにリンパ節子宮内膜症を考慮する必要がある.