著者
金澤 康 藤原 久美 井手 華子 山﨑 博之 宇都宮 一典
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.288-294, 2017-04-30 (Released:2017-04-30)
参考文献数
17

症例は48歳男性.8年前指摘の糖尿病に対しインスリン加療されていたが,自己中断歴もあり,血糖コントロールは不良の状態であった.意識障害で家族に発見され救急搬送となった.血液検査結果から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.意識レベルはGlasgow Coma Scale E1V1M1,頭部CTでは著明な脳浮腫,頭部MRIではびまん性に脳低灌流の所見を得た.併発していた肺炎の治療とともに,グリセオール投与で浮腫の改善を図りながら,補液,インスリン投与による全身管理を行った.脳浮腫は改善をみとめたものの,最終的に高度遷延性意識障害の状態に至った.DKAを含めた高血糖緊急症において,治療前に脳浮腫を来した報告は極めて少なく,貴重な症例であると考え,考察とともに報告する.