著者
金澤 康 藤原 久美 井手 華子 山﨑 博之 宇都宮 一典
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.288-294, 2017-04-30 (Released:2017-04-30)
参考文献数
17

症例は48歳男性.8年前指摘の糖尿病に対しインスリン加療されていたが,自己中断歴もあり,血糖コントロールは不良の状態であった.意識障害で家族に発見され救急搬送となった.血液検査結果から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.意識レベルはGlasgow Coma Scale E1V1M1,頭部CTでは著明な脳浮腫,頭部MRIではびまん性に脳低灌流の所見を得た.併発していた肺炎の治療とともに,グリセオール投与で浮腫の改善を図りながら,補液,インスリン投与による全身管理を行った.脳浮腫は改善をみとめたものの,最終的に高度遷延性意識障害の状態に至った.DKAを含めた高血糖緊急症において,治療前に脳浮腫を来した報告は極めて少なく,貴重な症例であると考え,考察とともに報告する.
著者
堀内 篤 知久 幹夫 井手 華子
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-9, 2005-12

金華豚の雌5頭とデュロック種系統豚「フジロック」雄1頭を用いてF1世代を作出し、静岡県、千葉県、神奈川県にそれぞれF1雄2頭、F1雌7頭を配置してこれらの交配で得られるF2世代から成る3県合同の大規模家系を構築した。そして、金華豚の優れた肉質特性を育種素材として活用するため、金華豚とデュロック種の交雑家系における肉質に関与するQTL解析を実施した。QTL解析用のマーカーとして、同家系において多型が確認された131個のマイクロサテライトマーカーを選定し、F2個体554頭(静岡県:204頭、千葉県:198頭、神奈川県:152頭)のタイピングを行い、インターバルマッピング法によりQTLの解析を実施しfこ。静岡県家系におけるF2世代204個体の解析で、有意なQTLが一日平均増体重(SSC1)、椎骨数(SSC1,SSC7)などの産肉形質や、加熱損失率(SSC3)、肉色a*値(SSC6)等の肉質形質に関して検出された。また、肉の柔らかさの指標であるシェアバリュー(shear force values:剪断力価)は、各県ごとのQTL解析ではほぼ同様の位置にF値のピークが認められるものの有意な値ではなかった。しかし、3県合同の554個体による解析において、第2染色体の70cM近傍(近傍マーカーSW766)にゲノムワイド1%水準で有意なシェアバリューのQTLを検出した。その相加的遺伝子効果は、0.6521b/cm2、優性効果は-0.236lb/cm2で、金華豚アリルで肉を柔らかくする効果が認められた。