著者
藤原 和好
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.41-50, 2013-08-10 (Released:2018-08-06)

小学校の文学の授業では、ストーリーに浸らせ、そこでのびのびと遊ばせることが大事である。だが、ストーリーをたどる読みは、教師の手のひらで遊ぶだけのものになってしまう。そこから抜け出すために、「語り」を意識させることはきわめて有効である。「語り」は、語られている世界を意味づけ、語られていない世界に出会う装置である。その「向こう側の世界」との出会いから紡ぎ出される子どもの読みは、教師の読みをも揺さぶる。
著者
藤原 和好
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.11-19, 2007

感動は教育できない、教えられないということは、まったく当然のこととして、圧倒的多数の教師・研究者に信じられている。そういう信念の背後には、教育とは計画的な営みで、その結果は評価可能なものでなければならないという教育観・学力観がある。そして、さらに、感情は不可知のもので、科学的分析の対象にならないという認識がある。それが文学教育否定の根拠となっている。しかし、はたしてそういう前提は正しいのか。揺るぎないものなのか。