著者
藤原 幸子
出版者
学校法人順正学園 九州保健福祉大学大学院社会福祉学研究科
雑誌
最新社会福祉学研究 (ISSN:18809545)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-40, 2021-03-31

本研究は,犯罪被害者等に対するインターネット調査を通じて,被害後の実態,二次被害の実態,被害後に必要な支援等を明らかにすることである.調査は,犯罪の被害にあったことのある200名の男女を対象に実施した.犯罪被害者等の半数以上の者が心身の被害を訴え,身体的心理的影響が生活機能の低下をもたらしていることから心理面だけでなく生活面の支援の拡充が求められる.犯罪被害者等は,複数の人や機関等から二次被害を受けた人も多く,社会,専門機関,被害者に対する啓発を行っていく必要がある.事件後に必要な支援は,事件直後は様々な手続き等の支援への要望が多く,時間が経過するにつれて精神的なケアの要望が多くなる.犯罪被害者等が被害から回復するためには,時に長い時間を要し,犯罪被害者等のニーズは変化する.そのため,ソーシャルワーカーは長期的に支援するという犯罪被害者等の視点に立った支援が求められる.