著者
大勝 靖一 藤原 貴文
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.87-93, 2007
被引用文献数
3 9

ヒンダードアミン光安定剤ニトロキシド(HALS NO)とフェノール系酸化防止剤の拮抗作用を検討した。両者の反応生成物を詳細に検討したところ,HALS NOからはそれが還元されたHALSヒドロキシルアミン(HALS NOH)およびHALSアミン(HALS NH)が生成し,一方,フェノール,たとえば2,6-ジ-<i>t</i>-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)からは主にそのキノンメチドおよびスチルベンキノンなどが生成することが分かった。これらの生成物は初めての発見である。この結果に基づいて,新しいHALS NOとフェノールの拮抗作用が提案される。HALS NOは2分子間の電子移動反応によってHALSニトロソニウムとなる。このニトロソニウムは強い酸化力を持ち,フェノール,たとえばBHTをキノンメチド,そして最終的にスチルベンキノンに酸化し,無益に消費する。一方,HALS NOはHALSアミンおよびHALSヒドロキシルアミンへ還元される。<br>