著者
大勝 靖一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.210-213, 1998-04-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

油脂及び油脂関連物質の酸化反応を自動酸化の立場から記述した。油脂の自動酸化は二面性がある。最初にその二面性に共通した, しかも基本的な, 特に油脂に特有な点を強調した立場から酸化反応を解説した。続いて油脂の酸化が必要不可欠であるという分野, 特に塗料における油脂の酸化と乾燥の関係について説明した。一方酸化が好ましくないものとして油脂の酸敗を取り上げ, さらには生体膜の構成成分であるリン脂質の酸化劣化とその防止の生体における重要性を記述した。
著者
大勝 靖一 藤原 貴文
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.87-93, 2007
被引用文献数
3 9

ヒンダードアミン光安定剤ニトロキシド(HALS NO)とフェノール系酸化防止剤の拮抗作用を検討した。両者の反応生成物を詳細に検討したところ,HALS NOからはそれが還元されたHALSヒドロキシルアミン(HALS NOH)およびHALSアミン(HALS NH)が生成し,一方,フェノール,たとえば2,6-ジ-<i>t</i>-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)からは主にそのキノンメチドおよびスチルベンキノンなどが生成することが分かった。これらの生成物は初めての発見である。この結果に基づいて,新しいHALS NOとフェノールの拮抗作用が提案される。HALS NOは2分子間の電子移動反応によってHALSニトロソニウムとなる。このニトロソニウムは強い酸化力を持ち,フェノール,たとえばBHTをキノンメチド,そして最終的にスチルベンキノンに酸化し,無益に消費する。一方,HALS NOはHALSアミンおよびHALSヒドロキシルアミンへ還元される。<br>