著者
植田 隼平 野村 泰伸 清野 健 藤田 壌 西田 直樹 藤尾 宜範 林 洋行 田口 晶彦 川瀬 善一郎 真田 知世 金井 博幸
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S126, 2018

<p>近年,国内の企業において従業員の健康を経営資源ととらえ,社員の健康維持や改善のための取組や投資を積極的に行う「健康経営」の重要性が認識されるようになった.少子高齢化の日本では,人手不足,後継者不足,年金制度維持のための定年引上げなどの影響により,労働人口の高齢化が急速に進むことが予想されるため,企業の維持・成長のための経営戦略として健康経営を実践する必要がある.我々は,労働者,特に生産現場労働者の健康管理への応用を目指し,ウェアラブル生体センサを用いた体調評価指標を開発した.我々のアプローチでは,ウェアラブル生体センサとして衣料型デバイスを用い,労働中の加速度と心拍数を同時に計測する.これまで,心拍変動を用いた自律神経機能の評価や,心拍数あるいは加速度センサを用いた運動強度の評価については多くの研究成果があるが,日常発生する体調不良を客観的に評価する方法については十分に確立していない.我々は,建設・運送会社約12社に協力いただき,2017年5月から9月の期間にて延べ約7000人の労働者の就業中の心拍数と加速度をモニタリングするとともに,就業前後の主観的体調に関するアンケートを実施した.これらのデータ分析に基づき,加速度と心拍数情報を組み合わせた新たな指標を構成し,この指標が労働者の主観的体調と相関することが見いだされた.講演では,生産現場における生体指標の有用性について議論する.</p>