著者
吉田 博 藤本 水石 林 淳三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.496-503, 1992
被引用文献数
1 1

ヤナギマツタケの栄養世代における栄養要求性を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.<BR>(1) 本菌は広範な炭水化物を炭素源として利用できるが,その要求性は炭水化物の種類によりかなり相違していた.キシロース,グルコース,フルクトース,ラクトース,マルトース,デキストリン,グリコーゲン,ペクチン,可溶性デンプンは良好な炭素源であった.<BR>(2) 有機態窒素であるペプトン,ソイトン,酵母エキス,肉エキス,カザミノ酸は良好な窒素源であった.無機態窒素のうちアンモニウム態窒素は比較的良好な菌糸体生長を示したが,硝酸態窒素での生長は良好ではなかった,グリシン,アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,セリンは良好な窒素源であり,これらのアミノ酸は単独で比較的良好な効果を示した.<BR>(3) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムは栄養生長に不可欠であり, 30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/lの濃度で最大生長に達した.<BR>(4) チアミンは栄養生長に不可欠であり,30μg/lの濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド,リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.<BR>(5) 核酸塩基類(アデニン,グアニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸)の添加により栄養生長は促進された.
著者
吉田 博 藤本 水石 林 淳三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.122-129, 1991

クリタケの栄養世代における栄養要求性(無機塩類,ビタミン類,核酸関連物質,植物ホルモン)を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.<BR>(1) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムはクリタケの栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.<BR>(2) チアミンは栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30μg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド.リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.<BR>(3) 核酸塩基(アデニン,グァニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸),ヌクレオシド(アデノシン,グアノシン,シチジン,イノシン,ウリジン,チミジン),ヌクレオチド(アデニル酸,グアニル酸,シチジル酸,ウリジル酸)は生長促進効果を示したが,核酸塩基類,ヌクレオシドおよびヌクレオチド間の効果には顕著な差は認あられなかった。<BR>(4) IAA, NAAおよびGA<SUB>3</SUB>は1mg/<I>l</I>の濃度で若干の生長促進効果を示したが,IAAおよびNAAは10mg/<I>l</I>の濃度で逆に生長阻害作用を示した.